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【暮らし】

痔の「特効薬」は生活改善 9割は切らずに治せる

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 日本人の三人に一人がかかっているといわれる痔(じ)。ひそかに悩みながら、「手術が怖い」「恥ずかしい」と病院に行くのを先延ばしにしている人も多そうだ。だが、ベテラン肛門科医は「痔は生活習慣病で、九割は切らずに治せる。一方、痔だと思ったらがんだったというケースもある。痛みや出血などがあったらためらわず早めに受診してほしい」と呼び掛ける。 (北村麻紀)

 国際弁護士の男性(42)は激務で連日、帰宅が午後十一時を過ぎる生活。スタミナ維持のため、帰宅後に脂っこい食事をとり続けた結果、三年ほど前から慢性的な下痢になり、うち週一、二回は出血や痛みも伴うようになった。

 その後症状は悪化。約四カ月間、毎日のように痛みや出血が出たため、東京・南青山の平田肛門科医院で診察を受け、裂肛(れっこう)(切れ痔)と診断された。「手術でも何でもいいから早く治して」と望む男性に、平田雅彦院長は三カ月間の生活改善を提案。具体的には、深夜の重い食事を避け、夕食は午後七時と帰宅後の二回、軽めにとる▽朝食に乳製品などを取り入れる▽毎朝決まった時間にトイレに行く−など。男性は三カ月後に出血と痛みが治まり、下痢もほとんどなくなった。

 痔には痔核(じかく)(いぼ痔)、裂肛、痔ろう(あな痔)の三種類があり=イラスト、痔核の患者が最も多い。

 「38万人を診た専門医が教える 自分で痔を治す方法」(アチーブメント出版)などの著書がある平田さんは「痔は生活習慣病。多くの場合、運動不足や過度の飲酒、食生活の乱れなどで便秘や下痢が続くと肛門に炎症を起こす。なので生活習慣を改善すれば治ります」と話す。

 平田さんは「欧米でも、痔は切らずにセルフケアと投薬で治すのが主流」と指摘する。実際、痔核の手術率はドイツ7%、英国5%、米国4%に対し、日本は40%と突出している。

 平田さんが勧めるのは、食物繊維や発酵食品を多くとる▽過度の飲酒や体の冷えに注意する▽なるべく階段を使い運動不足を解消する−などで、他の生活習慣病にも通じる「当たり前」の生活改善策ばかり。「肛門の粘膜は二カ月サイクルで入れ替わる。余裕をもたせて三カ月を経過観察期間とし、セルフケアを心がければ、ほとんどの痔は治るし、高血圧、肥満などの解消にもつながる」。三カ月が経過しても治らない場合は、手術や投薬治療を検討することになる。

 ただ「切らずに治す」といっても痔ろうは例外。生活習慣の乱れや、強いストレスや疲れなどで免疫力が落ちたところに、便が肛門腺に入って化膿(かのう)が進み、うみのトンネルができる。放置するとその部位ががん化する危険もあるため、平田さんは「100%手術が必要」と言う。また「痔ではなく直腸がんだったという深刻なケースもある。痛みや出血などが一カ月続いたら、恥ずかしがらず受診してほしい」と平田さん。健康な人も人間ドックなどで二年に一度、大腸内視鏡検査を受けることを勧める。

◆下剤に頼りすぎない

 平田さんは、一般的な生活改善のほか、痔の治療ならではのケアも提唱している。いくつか紹介する。

 【下剤に頼らない】 便秘がちな人は、とりあえず市販の下剤で治そうとする。だが、生活習慣を変えない限り便秘が続くこともあり、「下剤依存症」になりかねない。

 【トイレにスマホはNG】 トイレにスマホや本を持ち込んで長時間いきむと、腹圧や血圧が上がり肛門にも負担がかかることがある。スマホに夢中で排便に集中できないデメリットも。

 【チャンスを逃すな】 便意をもよおしやすいのは、空腹の胃に食物が入ってきたとき、寝た姿勢から起き上がったとき、おいしそうな料理を見たとき。起床時に冷たい水やお茶を飲むのがお勧め。

 

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