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【暮らし】

<食べきりのすすめ>広がる「フードシェアリング」 売れ残った料理 ネットで購入

ランチで余った親子丼をタベテに出品し、購入した女性(右)に手渡す広田店長=東京都品川区の「焼き鳥・水炊きたから」で

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 飲食店などが余った料理や食材をインターネット上に出品し、食べたいユーザーが購入するサービスが広がっている。「フードシェアリング」と呼ばれ、食べられるのに廃棄される「食品ロス」の削減に向けた取り組みとして注目されている。 (河野紀子)

 東京都の会社員女性(33)は昨年十二月の夜、会社帰りに品川区の居酒屋「焼き鳥・水炊き たから」で、親子丼を受け取った。

 親子丼はこの日の店のランチ。飲食店で売れ残った料理などが出品されているウェブサイト「TABETE(タベテ)」で見つけ、購入した。ランチ営業時は九百円だったが、タベテでは六百円に。サイトは月一回ほど利用しており「おいしい料理を食べられ、食品ロス削減にも役立てる」。

 同店の広田健店長(35)によると、ランチ用に下ごしらえした食材は売れ残ると他への転用が難しく、まかない食にするか、廃棄することもあった。昨年六月にタベテを知り、参加。出品した数食が完売することもあり、「食べてもらえるのはうれしい」と話す。

 タベテは食品関連会社「コークッキング」(東京)が二〇一七年に始め、昨年四月から本格運用。飲食店が料理の写真や販売数、料金などを掲載し、購入を希望するユーザーが指定時間に店まで引き取りに行く。

 衛生上、原則当日に安全に食べられることが出品の条件。売れれば、店がコークッキングに一定の手数料を支払う。東京を中心に埼玉、神奈川両県にも広がり、現在は居酒屋やカフェ、ベーカリーなど三百近くの店が情報を掲載する。

 ユーザーは二十〜四十代の働く女性が中心で、仕事帰りなどに自宅や最寄り駅近くの店で夕食用などに購入する人が多い。料金はサイト上でクレジット決済して支払う手軽さもあり、登録者は八万人を超えた。

 同社の川越一磨社長(27)が飲食店で働いた経験から、売れ残りなどで毎日大量の食材が捨てられることに疑問を持ったのがきっかけ。ヨーロッパでは余った料理を割引価格で提供する取り組みがあることを知り、「日本にも」と考えた。

 ただ、購入率はまだ20〜25%。川越社長は「引き取られなかった料理は廃棄につながる。食品ロスへの関心を高め、参加店や利用を増やしたい」と話す。

 昨年四月から情報通信会社「SHIFFT」(東京)が運営するフードシェアのサイト「Reduce GO」(リデュースゴー)では、購入者は月額千九百八十円をサイトに支払えば、毎日二回まで出品料理を引き取れる。食品ロスをなくしたいが料理の値下げには抵抗がある店でも、定額制のため、値段を示さずに参加でき、ユーザーの購買意欲も高められる。都内の百四十店が参加する。

 余った料理だけでなく、調理前に廃棄されている食品をシェアする取り組みも。飲食店のコンサルタントなどに携わる「バリュードライバーズ」(東京)が昨年六月に始めたウェブサイト「tabeloop」(たべるーぷ)は包装が汚れていたり、形がふぞろいだったりして流通しない野菜や鮮魚、缶詰などの業務用食品を売買。売り手は生産者や食品メーカー、買い手は飲食店などが中心だ。

 国の推計によると、日本の食品ロスは年間約六百四十六万トンで、うち外食産業は百三十三万トンを排出。「食品ロスの経済学」の著者で、愛知工業大の小林富雄教授(45)はフードシェアを「食品を有効活用し、廃棄を減らす」と評価した上で、「店側はまず、過剰に作らず、ロスそのものをなくすことが大切。フードシェアが広がり、そんな意識にもつながれば」と話す。

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 食品ロスをなくす取り組みを「食べきりのすすめ」として、随時掲載します。

 

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