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【暮らし】

祖父母向け「孫育て手帳」 昔と違う「抱っこ」「授乳」「離乳食」…

「祖父母手帳」を使った孫育て講座で講義する大野智子園長(右)。左手前は鈴木律子さん=さいたま市で

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 よかれと思って孫のためにしたことを、娘に怒られた−。孫の世話を巡り、育児の「常識」が昔と違うことによる親子の仲たがいを防ごうと、「孫育て手帳」や「祖父母手帳」を発行する自治体が増えている。抱っこや授乳、離乳食などについて最新の育児法を載せ、孫との遊び場も紹介。楽しく孫育てできる情報が満載だ。

 「手帳の十一ページを見てください。昔は果汁を飲ませましたが、今は与えなくていいんです」。昨年十一月下旬、さいたま市の子育て支援センターで開かれた孫育て講座。市内の保育所で園長を務める大野智子さん(57)が「果汁は甘いので脳が満足してしまい、ミルクや離乳食が進まなくなってしまうから」と理由を説明すると、孫がいる女性七人が「へえ」と驚いた。

各地の自治体が発行した「孫育て手帳」や「祖父母手帳」

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 講座のテーマは「食育」で、教科書はさいたま市が二〇一五年に発行した祖父母手帳だ。A5判の約二十ページでイラスト入り。昔の育児法との違いや事故の防ぎ方、公園の場所などを掲載。「祖父母が子育て論を押しつけてくる」「昔の知識で接する」など、市が親に実施したアンケートで出た意見も取り上げた。

 参加した同市在住の鈴木律子さん(79)には孫が三人おり、同居する一人はまだ一歳だ。孫育ての勉強のため、手帳は自ら市役所で入手。「抱っこは心の成長に大切なので、抱き癖は気にしなくてよい」とする記述が新鮮だったといい、「昔は泣いてもすぐ抱かないように教わったけど、抱っこしてもいいのね」と笑う。

 こうした手帳を発行する自治体は二十超に上る。共働き世帯が増え、仕事と育児の両立のため自分の親に助けてもらう機会が増えていることが背景にある。一方、育児を巡り親子の間で摩擦が生じたり、頼られすぎて祖父母が「孫疲れ」に陥ったりする問題も生じている。手帳はこういった課題の解消を狙う。

 さまざまな特色も。熊本県は産前産後だけでなく、小中学校や高校時代に直面する悩みも掲載。「ゲームを買ってほしいとせがまれる」「いじめが心配」などの質問に答えている。

 香川県三豊市は、ボクシングを教える祖父など多様な孫育ての体験談を紹介。千葉県習志野市は「手、口、お金は出しすぎず、心と体力にゆとりを!」などの十カ条を説く。

 NPO法人「孫育て・ニッポン」の棒田明子代表(50)は、今後も手帳を発行する自治体は増えるとみており、「地域ごとに子育て環境は大きく異なる。他の内容をまねするのではなく、住民の声を丁寧に聞き、ニーズに合わせた手帳を作ってほしい」と話す。

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