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【暮らし】

介護職の外国人 悩み共有 東京や名古屋でカフェ

介護現場での問題点を話し合う外国人ら。張悦さん(左奥)が課題を投げ掛けることも=東京都で

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 今春からの外国人労働者の受け入れ拡大を前に、働く外国人同士が悩みを共有する取り組みが本格化してきた。特に外国人スタッフの増加が見込まれる介護などの福祉分野は、コミュニケーションが重要なだけに、言葉や生活習慣の違いから労働者が孤独を感じるケースも多い。東京や名古屋などで毎月開かれている催し「ワールドケアカフェ」を取材し、支援策を探った。 (花井康子)

 「日本語を勉強してきたけれど、介護の専門用語が分からず困った」「食事や入浴など生活習慣が違い、戸惑った」。名古屋市内で昨年十一月末に開かれたケアカフェ。参加者たちは、苦い体験を語り合った。

 この日は介護現場で働いたことがある中国人ら三十一人が参加。受け入れ側の福祉施設や教育機関の日本人職員も訪れた。十年以上、日本の介護や障害者の施設で働いてきた中国ハルビン市出身の崔笑平(さいしょうへい)さん(30)=名古屋市港区=は「最初は食事の皿の並べ方や『いただきます』のタイミングなどが分からず、日本では当たり前のことでも一から教えてもらわないとできなかった。中国では大きな声で話すのが普通だが、日本の施設では大きな声はダメと言われたことも驚いた」と振り返った。

 一月末に開かれた東京のカフェでは、吉林省出身の朴珍花(ぼくちんか)さん(37)=川崎市=が「張り切っていたら、日本人スタッフに『外国人のくせに出しゃばって』と差別的な言葉を投げ付けられた。ここで思いを共有でき、ほかの国の人たちの考えも分かった」と話した。

 主催者で、二〇一四年から名古屋市緑区で福祉コンサルティング会社を経営している上海市出身の張悦(ちょうえつ)さん(38)は研修制度や語学の学習支援といった職場の育成体制や生活支援などの不十分さを課題に挙げ、「中でもコミュニケーションの問題が一番深刻」と指摘した。

 張さんは日本の文化に興味をもち、二〇〇一年に来日。日本の福祉系大学を卒業し、在学中から高齢者や障害者の施設で働いてきた。「中国では、父親と入浴する習慣がなく排せつや入浴介助のとき、初めて裸の男性を見てショックを受けた」と打ち明けた。

 介護施設で高齢男性から突然、両手首をつかまれ、暴力を振るわれそうになったことも。「怖かったが、誰にも気持ちを打ち明けられずつらかった」。語学力だけでなく、生活習慣などの違いから悩んだことも。同じ境遇にある外国人を支えようと、三年ほど前からほぼ毎月、この催しを続けている。

 「サポートがあれば外国人も仕事を続けられるし、陽気で職場の潤滑油になれる人も多い。外国人が働きやすい職場は、日本人にとっても働きやすい」と力を込めた。

 ◇ 

 次回のケアカフェは、名古屋は十四日、名古屋市中村区の愛知県産業勤労センター ウインクあいちで。東京は三月二十五日、東京都千代田区のパソナグループJOB HUB SQUARE六階。いずれも午後六時半〜、参加費一般二千円。(問)張さん=(電)090(6142)2848。

◆習慣や言葉「支援あれば克服」

 外国人の労働問題に詳しい愛知県立大多文化共生研究所研究員の神田すみれさん(43)は、「日本人従業員に、外国人を雇用する理由や相手の国の文化や習慣について理解してもらうことが重要」と求める。

 例えば、外国人スタッフが帰国で長期休暇を取ると、日本人は「ずるい」と不満を抱きがち。神田さんは「雇用主が日中の違いを理解して説明し、互いに認め合うように指導しないと問題が起きる」と話した。

 業務は、絵で説明するなど「言葉以外で伝える方法を」と提案。日報をチェック式にしたり、文章は日本人の同僚が聞き取って書いたりと「工夫すれば乗り越えられる」と呼び掛ける。

 受け入れ側には、研修の時間も人員も余裕がないことが多い。神田さんは「国が調整役になる人材を派遣するなどの支援も必要」と指摘する。

 

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