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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 君和田伸二弁護士> 勤務中事故 労災、自動車保険どう使う

<お悩み> 先日、客先から会社に戻る途中、車にはねられ、2週間ほど会社を休み、今後も通院予定です。事故は、歩行者用信号が青点滅になってから私が横断歩道を渡り始めたとき、相手の車が青信号で右折してきて起きました。労災保険の利用を会社に相談しましたが、加害者の自動車保険で賠償されるから使わないように言われました。自動車保険で補償は十分ですか。(東京都・会社員 30代)

◆損害賠償受け労災も利用

<お答え> 労災保険は労働者が業務でけがをしたり、病気になったりしたときに一定の補償をする制度です。あなたの場合、仕事中に事故に遭っているので利用できます。

 労災の発生を隠すため、労災保険を使わせないようにする企業もあります。ただ労災保険を申請できるのは、労働者もしくは遺族(労働者が死亡の場合)ですので、あなたの判断で申請できます(申請先は労働基準監督署)。

 次に加害者への損害賠償請求と労災保険の違いを説明します。

 賠償請求は被害者にも落ち度(過失)があると、その度合いに応じて賠償額が減らされます(過失相殺)。一方、労災保険は故意や重大な過失がない限り減額されません。

 今回のケースでみると、あなたが青点滅になってから横断歩道を渡り始めていることが過失に当たります。賠償請求しても、治療費と会社を休むことによる休業損害、慰謝料の全てで、本来もらえる額より30%減らされると考えられます。

 労災保険では、治療費は全額支給されます。休業補償は平均賃金の60%が支払われるほか、特別支給金(一種の見舞金)として平均賃金の20%が上乗せされます。

 労災保険と損害賠償で二重にお金は受け取れません。ただ今回のケースの休業補償は、労災保険は60%ですが、損害賠償は70%受けられますので、労災保険から受給しても残り10%を加害者に請求できます。

 なお労災保険からは慰謝料は払われません。加害者から慰謝料額の70%を受け取ることになります。

 従って今回のケースでは労災保険も利用することが有利になります。

 

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