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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 君和田伸仁弁護士> 配転で職種変更、給与減仕方ない?

<お悩み> 小売業の会社で働いています。入社以来ずっと本部に勤務し、今は経理を担当しています。給与計算などの業務を外注することになり、本部から店舗に異動の内示を受けています。店舗の業務の大半は、給与の安いパート社員が担っているものと変わらないため、店舗への配転後は給与が減額されるとのことです。やむを得ないのでしょうか。

 (埼玉・会社員 30代)

◆一方的変更 認められない

<お答え> 日本の企業は正社員を採用する際、職種や勤務場所を限定しないのが一般的です。このため配転については、企業に広い裁量権が認められています。ただし業務上の必要性がない場合や、退職に追い込むためなどの不当な動機に基づく配転命令は、権利乱用として無効とされます。

 あなたの配転は業務上の必要性はありそうです。別の不当な動機がなければ、権利乱用というのは難しそうです。

 問題は、配転後に給与を減額できるかです。会社の理屈は、安価な労働力で賄える職種に変更するのだから、給与も安くなって当然というものです。しかし、どの職種に就かせるかを決めるのは企業であり、労働者に職種を選択する権利はありません。

 企業が一方的に決める職種変更によって給与が減らされるのは、あまりに不合理です。従って、配転による職種変更を理由に給与を減額することは許されないことになります。今回のケースでは給与の減額は認められないと考えられます。

 数は少ないですが、企業によっては賃金規定で職種ごとに給与の額(もしくは幅)を決めていることがあります。

 賃金規定は給与を決める労使間のルールとして効力を持ちます。このような場合には、職種変更に伴う給与減額が許されるようにも思われます。しかし、企業の裁量に基づく職種変更で給与を減額されることの不合理性は同じです。

 従って、賃金規定で職種ごとに給与額が決まっている場合でも、減額が許されるのは、職種変更により給与を減額されることに労働者が同意している場合や、労働者に責任のある理由(著しい能力不足など)に基づき職種変更がなされる場合に限られると考えられます。

 

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