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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 今野久子弁護士> 遺産分割調停 進め方に憤り

<お悩み> 姉が弁護士を立て、私と妹を相手に遺産分割の家事調停を申し立てました。申立書に事実と違うことがあり「異議を唱えます」と言うと、調停委員は「ここはそのようなことを争う場ではない。遺産をどう分割するか決める場」と言います。調停委員は双方の主張を聞いただけで、自分たちが判断するというのでしょうか。その進め方に納得できません。第一、うそでも言ったもの勝ちは、おかしくないですか。 (東京・会社員 70代)

◆結論を出すのは当事者

<お答え> 調停委員が決めるのかというご質問ですが、それは違います。

 裁判と調停の決定的な違いは、裁判は当事者の主張や証拠資料などに基づいて裁判官が決めるのに対し、調停は当事者が話し合って「自分たちで決める」ことにより紛争を解決する制度です。

 調停委員は当事者の事情や意見を聴き、双方が納得して解決できるように助言をしたり、調整したりして、調停を進めます。結論を出すのはあくまでも当事者であり、調停委員ではありません。当事者が合意に至らなければ、調停は不成立になり、審判(裁判)に移行します。

 こうした調停と裁判の違いを知らない人も多いので、調停の初回期日には、裁判官ないし調停委員から家事調停手続きの説明が行われることになっています。しかし、弁護士がついていないあなたに対し、十分な説明ではなかったようですね。

 調停制度は、費用も安く、非公開で、当事者が合意すれば柔軟な解決ができるなど、メリットがあります。

 「言ったもの勝ち」はおかしいとのことですが、調停は当事者の合意が大前提ですから、調停委員が当事者の意思を無視して何かを強制することはできません。ご質問によると、あなたが言いたいのは、申立人が主張する分割割合の合意はしていないし、異なる意見があるということのようです。それならば、諦めずに次回の調停でそれを話してみることです。

 ただし調停は話し合いだからといって、軽くみては危険です。合意に至れば、その内容は、裁判所によって調停調書として作成され、判決と同じ効力があります。守らなければ、強制執行も可能です。遺産も相応の額になるのであれば、あなたも調停の段階から弁護士に相談することをお勧めします。

 

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