東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 悩みの小部屋一覧 > 記事

ここから本文

【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 今野久子弁護士> 借地権つきで店舗譲りたいが…

<お悩み> 郷里で一人暮らしの母が亡くなり、一人息子の私が母所有の店舗(いとこのAに賃貸中)を相続しました。私は転勤族で、将来も郷里に帰る気はなく、店の管理も大変です。母のことで世話になったAが「店を借地権つきで安く譲ってほしい」と言ってきました。地主さんに何回もお願いに行きましたが、承諾してくれません。よい方法はありませんか。

 (千葉・会社員 50代)

◆裁判所に許可申し立てを

<お答え> 民法では「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、または賃借物を転貸することができない」(六一二条一項)と定めています。違反すると地主は契約を解除できます。

 地主の承諾が得られない場合、裁判所に許可を申し立てる方法があります。「借地非訟(しゃくちひしょう)」という手続きです。借地権を第三者に譲渡しても、地主が不利になるおそれがないにもかかわらず承諾しない場合、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与える制度です(借地借家法一九条)。非公開の裁判です。

 裁判所は、申立人(借地権者)や相手方(地主)ら当事者の陳述を聞いて、原則、弁護士や不動産鑑定士らでつくる鑑定委員会に許可の可否、許可する場合の条件などの意見を求めます。鑑定委は現地を調べて意見書を出します。裁判所は意見書について当事者の意見を聴き、許可または不許可を決めます。許可する場合は、借地条件の変更や借地人に地主への承諾料の支払いを条件とすることがよくあります。実際には、許可が出る割合が不許可より多いです。

 注意が必要なのは、地主の「介入権」です。地主は借地権を建物と一緒に優先的に買い取る権利があります。借地権の鑑定評価額が低かった場合、地主が自分で買い取れば、賃貸借関係を解消でき、建物の所有権も取得して自由にできることになります。

 介入権を申し立てられた場合、裁判所がそれを認めると、借地人はこれを拒むことができません。

 思わぬ不利益を避けるためにも、事前に地元の実務にも詳しい弁護士への相談をお勧めします。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報