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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 君和田伸仁弁護士> 同業他社に再就職 考えているが…

<お悩み> 家電量販店の販売員として働いていましたが、親の介護のため2カ月前に退職しました。その際、「退職後1年間は同業他社に就職しません」という誓約書にサインしました。それから1カ月ほどで親が亡くなり、現在、就職活動中です。経験の生かせる家電量販店を考えていますが、誓約書がある以上、1年間は控えるべきでしょうか。 (東京・無職 40代)

◆誓約書 無効の可能性

<お答え> 企業は、企業秘密や取引先情報などの流出を防ぐため、退職した労働者に対して、同業他社への就職を制限しようとすることがあります。

 しかし、労働者には転職の自由があります。また転職をする場合、それまでの職歴で築いてきた知識や経験などを生かせる同業種を選ぶことが通例です。従って、同業他社に就職しない旨の誓約書などにサインしても、それが無効とされることが少なくありません。

 誓約書の有効性が争われた裁判では、以下の事情を総合的に考慮し、判断されています。(1)同業他社への転職を禁止する目的・必要性(転職を禁止しなければ、重要な企業秘密や顧客情報の流出を防止するのが困難か)(2)退職前の労働者の地位や業務の内容(企業秘密などに接する立場にあったか)(3)禁止される業務の範囲や期間、地域(例えば、禁止の期間が長すぎないか)(4)代償措置の有無(転職を制限する代わりに退職金の上積みなど、経済的な手当てをしているか)

 このように、企業秘密とはいえない情報を維持するために、転職を制限することはできません。また企業内で重要な地位になく、企業秘密などに接する機会がなかった労働者に対する退職制限は無効とされるのが通常です。

 あなたは販売員で、重要な企業秘密などに接する立場ではありませんでした。また、代償措置が講じられていなかったのですから、誓約書は無効とされる可能性が高いと考えられます。

 なお退職時に誓約書にサインをする義務はありません。転職に制限をかけるような誓約書に署名を求められても、きっぱり断るのが無難です。

 

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