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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 君和田伸仁弁護士> 定年後の再雇用 処遇に不満募る

<お悩み> 中規模の建設会社で総務関係の仕事をしてきましたが、来年3月に60歳定年を迎えます。会社には定年後の再雇用制度があり、人事部との面接で、再雇用を希望しました。人事からは勤務は週3日、時給1000円で賞与も出ないと言われました。月額10万円にも満たないことになります。このような処遇は許されるのでしょうか。 (東京・男性 59歳)

◆団体交渉で解決、望ましい

<お答え> 高年齢者雇用安定法は、六十五歳までの雇用を確保するため、(1)定年年齢の引き上げ(2)継続雇用制度(希望者を定年後も引き続き雇用する制度)の実施(3)定年制廃止−のいずれかの措置を講じることを事業者に義務付けています。多くの企業は継続雇用制度を採用しています。

 問題は継続雇用後の労働条件です。法律はこの点について何も定めておらず、基本的には企業の裁量に委ねられています。従って、あなたに告げられた労働条件が違法になるとは言えません。

 あなたと同様の条件(短時間の時給制で、月収十万円未満)を提示された労働者が継続雇用に応募せず、企業を訴えた裁判があります。判決は、高年齢者が到底受け入れ難い労働条件の提示は、六十五歳までの安定的な雇用を享受できるという利益を侵害すると指摘し、慰謝料を認めています(ただし、認められた慰謝料は、提示された給与の一年分程度の額)。

 法律で六十五歳までの雇用を義務付けたのは、老齢厚生年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げたのに対応し、その間の生活(給与収入)を保障するという意味がありますので、妥当な内容の判決と言えます。

 一方で定年後、賃金が下がるのはやむを得ないとして、短時間や時給での再雇用を違法でないとする裁判例もあります。争っても常に勝訴できるとは限りません。

 定年後の労働条件は、ほとんどの労働者に共通する問題です。納得がいかないようであれば、労働組合による団体交渉で解決するのが望ましいです。会社に組合がない場合、個人で加盟できる組合や、弁護士に相談するのもよいでしょう。

 

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