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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 今野久子弁護士> 看護師の娘が患者に殴られた

<お悩み> 看護師の娘が2カ月ほど前、入院中の患者さんから殴られました。耳が一時聞こえなくなり、現在は休職しています。娘の話では、患者さんによる暴力はときどきあるそうです。娘は自信をなくし「患者さんが怖い」と言い出しました。病院は労災申請はしたようですが、職場復帰に向けて、病院に対し他に何か要求できませんか。(神奈川・無職 52歳)

◆病院の安全対策確認を

<お答え> ご心配ですね。質問では、娘さんの被害の詳しい経緯が分からないため、一般論で答えます。

 使用者は「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう」必要な配慮をしなければなりません(労働契約法五条)。「安全配慮義務」といいます。娘さんの病院では、患者の暴力がときどきあったということですが、いったいどのような安全管理対策がとられていたのでしょうか。病院ができる対策は、次の事項が考えられます。

 (1)暴力の実態調査をした上で、実情に合った安全管理の方針を立てる。暴力を容認しない姿勢を職員に徹底し、病院の利用者には掲示やポスターなどで方針を明確にする(2)監視カメラの設置や警備員の配置、暴力事件を起こす患者への対応方針などを設定する(3)暴力が発生した場合の被害者の救護と患者への対応。特に被害を受けた職員は原則、労災扱いとし、ケアのために希望する専門医の診療を受けられるように手配するなど救済策の整備(4)安全管理対策マニュアルの作成・整備とそれに基づく職員研修の実施−などです。

 病院が以上のような対策を取っていないのであれば、あなたから病院に対して、娘さんの状況を報告し、娘さんが安心して職場復帰できるように環境整備を申し入れてみましょう。

 なお娘さんの被害が業務上と認定されれば、労災保険から療養給付や休業給付がされます。ただ精神的損害に対する慰謝料は労災保険からは給付されず、病院に対し安全配慮義務違反として、損害賠償を求めることになります。

 できれば、病院と交渉する前に、労災事件を専門に扱っている弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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