東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 悩みの小部屋一覧 > 記事

ここから本文

【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 加藤健次弁護士> 賃貸で犬飼育 退去時に30万円請求

<お悩み> 賃貸マンションに住み、犬を飼っていました。最近引っ越しましたが、管理会社から「ペットを飼っていたのでリフォームなどで50万円かかる」と、敷金20万円を引いた不足分30万円を請求されました。賃貸借契約書には契約終了時に「リフォーム代金を支払う」と書いてあります。請求通りに支払わなければならないのでしょうか。 (東京・会社員 30歳)

◆リフォーム代の明細取ろう

<お答え> 建物の賃貸借契約が終了したら、借り主は原状回復(元の状態にする)をして貸主に返す必要があります。この場合、原状回復の範囲を巡って紛争になることがあります。

 裁判では、建物を普通に使っている間に生じる劣化や消耗は原則、借り主が費用を負担する必要はないとされています(最高裁二〇〇五年十二月十六日判決など)。具体的には、畳替えや壁紙の張り替えなどの費用は、借り主が負担する必要はありません。

 ただし、タバコで畳をこがしたとか、壁に穴を開けてしまったという場合は、その補修費用を借り主が負担することになります。

 では、賃貸借契約書に「リフォーム費用は借り主の負担とする」という特約条項があったらどうでしょうか。この場合、必ずしも全額負担しなければならないわけではありません。特約に合理的な理由があるなど要件を満たすことが必要で、借り主に過度の負担を課す特約は無効とされます(借地借家法三〇条)。

 ご質問のようにペットを飼っていたからといって、リフォーム代金を全額負担することは、合理的な理由を欠くと判断されるのが一般です。裁判例では、ペット飼育による消毒費用としてのクリーニング代金のみを借り主の負担として、その費用を差し引いた敷金残金の返還を貸主に命じた例があります(東京簡裁〇二年九月二十七日判決)。

 管理会社に費用の明細を明らかにしてもらい、本当に必要と思われる費用だけを負担するよう交渉しましょう。場合によっては敷金の返還を請求することも考えられます。

 なお、原状回復の範囲について、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発表していますので、ぜひ参照してください。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報