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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 君和田伸仁弁護士> 「残業代含む年俸制」というが…

<お悩み> 半年前にデザイナーとして、アパレル関連の会社に採用されました。給与は年俸制で年額720万円(月額60万円)です。さまざまな雑用をさせられ、月60時間程度の残業もしています。残業代は年俸の中に含まれるという労働契約を交わしていますが、きちんと残業代が支払われているか確信を持てません。

 (東京・30代 女性)

◆判別できなければ違法

<お答え> 労働基準法は一日八時間、一週四十時間を超えて働かせた場合、「通常の労働時間」(所定労働時間)分の賃金に25%以上の割り増しをつけた時間外手当(残業代)を支払うことを使用者に義務付けています。また、労基法が定めた基準を下回る内容の労働契約は無効で、労基法の基準が適用されます。例えば、残業代を払わないという合意をしても、その合意は無効で、前述の労基法の基準が適用されます。

 では、年俸の中に残業代が含まれるという合意をしている場合は、どうでしょうか。あなたの場合、七百二十万円の年俸(月給六十万円)のうち、「通常の労働時間」に対する賃金がいくらで、残業代がいくらなのかが全く分かりません。これでは「通常の労働時間」分の賃金に25%以上の割り増しをつけた残業代が払われているのか、確認のしようがありません。労基法の規定どおりに残業代が払われたとは言えないでしょう。

 あなたと同様のケースが裁判になったことがあります。年俸千七百万円の医師が残業代を請求しました。高裁判決は、医師は労務の提供について自らの裁量で律することができることや、給与が高額であったことなどから、残業代を認めなくとも労働者としての保護に欠けるおそれはないとしました。しかし最高裁判決は、前述したように「通常の労働時間」に対する賃金が不明などの理由で高裁判決を覆しています。従って、あなたの残業代請求は認められることになります。

 残業代もさることながら、月約六十時間の残業など長時間労働を避けることも重要です。実現には労働組合による交渉が有効です。会社に労働組合がない場合は、社外の労働組合に相談してみることをお勧めします。

 

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