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【首都圏】

石炭火力 日本は推進、世界と逆行 渋谷区で国際シンポ

G7伊勢志摩サミットを前に、国内外のNGOらが石炭火力発電の課題を話し合った国際シンポジウム=東京都渋谷区で

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 先進7カ国(G7)首脳が集まる伊勢志摩サミットを前に、石炭火力発電所の課題を話し合う国際シンポジウム「気候変動とエネルギー」が20日、東京都渋谷区の国連大学で開かれた。国内外のNGOらが世界と日本の動向を報告。長期間、二酸化炭素(CO2)排出が続く石炭火力を規制し、再生可能エネルギーへと転換する世界の流れに日本政府は対応せず、逆行ぶりが浮かび上がった。(鈴木久美子)

 「G7の中で日本は孤立している」

 英国のシンクタンク「E3G」のクリス・リトルコットさんは指摘した。日本は四十七の石炭火力発電所建設計画があり、政府も重要な電源と位置付けているが、この数年、各国は脱石炭へとかじを切った。英国は二〇二五年までに発電所の全廃を表明、米国でも規制で新規建設は事実上難しく、一〇年以降、三分の一が閉鎖した。カナダでも発電所の集まるアルバータ州で三〇年までに撤退を公約。

 こうした動きが出ているのは、環境、健康、経済性の課題が大きく、発電所の継続が困難だからという。

 石炭火力のCO2排出は天然ガスの二倍。異常気象が各地に深刻な影響をもたらす中、昨年の気候変動対策に関するパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前から二度未満に抑えるよう各国が同意した。

 「(計画・建設中の)石炭火力発電所がすべて高効率であっても、この目標は達成できない」と英国のコンサルタント会社「Ecofys」のリンディー・ウォングさんはデータから示した。

 健康面では、発電所が大気中に排出する二酸化硫黄、PM2・5などの影響を、「グリーンピース東アジア」のラウリ・ミルヴィエルタさんが分析。東京の二百キロ圏内で計画中の十の発電所が稼働すると、東京・千葉で年間二百六十人が早期死亡、三十人が低出生体重児になると推定した。石炭火力は安いが、「(環境や健康被害など)外部コストを含めていないから」とウォングさんは述べた。

 すでに世界では化石燃料よりも再生可能エネルギーへの投資額が大きい。日本の政府系金融機関の融資で発電所計画のあるインドネシアのNGO「環境フォーラム」のピウス・ギンティンさんは「日本には再生エネルギーで支援してほしい」と話した。

 NPO法人気候ネットワーク理事の平田仁子さんは「日本は気候変動のリスクの認識がいかに低いか思い知らされた。パリ協定後初のG7の議長国として政府は脱化石燃料へと一歩進める責任がある」と述べた。

 

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