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【首都圏】

東京・西荻窪 樹齢100年の大ケヤキ  地域で「トトロの樹」守った!

モデルとなった大ケヤキの前で出版した絵本を手にする山中さん(中)。右は天高文さん=東京都杉並区西荻北で

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 東京・西荻窪の住宅街に「トトロの樹」と慕われているケヤキがある。伐採と立ち枯れという2度の危機に見舞われたが、地域の人が力を合わせて守った。木の向かいでカフェを営む山中啓倭子(けいこ)さん(40)が仲間と出版社を立ち上げ、「坂の上のケヤキ〜キセ木の物語〜」という絵本にまとめた。 (石原真樹)

 大昔から地域に愛され、地域を見守り続けてきたケヤキ。その木が切り倒されると聞き、主人公はなんとか止めようと署名集めに走り回る。名も知らぬ人たちが「応援するよ」と手を差し伸べてくれた…。

 「絵本はほぼ実話。署名してくれた人や土地を売ってくれた事業者など、助っ人が次々と現れた様子が伝わる」と山中さん。地元在住のイラストレーター・みきさんの素朴なタッチの絵が加わり、ケヤキを思う人たちとケヤキが心を通わせる様子が温かく描かれる。

 杉並区によると、ケヤキは樹齢100年ほどとされ、高さ約19.5メートル。2008年にマンション建設計画が持ち上がり、伐採の話が出たが、山中さんらが8000人以上の反対署名を区に提出し、土地を区が購入して危機を逃れた。

 だが、ケヤキは徐々に勢いを失う。根元の地面が踏み固められたことなどが原因だった。樹木再生に取り組む鳥取県倉吉市の福楽善康さんが昨年夏、土壌改良剤を敷地に注入し、次第に元気を取り戻した。秋には見事な紅葉をみせた。

 山中さんは一緒に署名を集めた近所の卯尾田高文さん(66)らと、ケヤキをめぐる物語を朗読劇にして昨年披露した。台本を手掛けたのは、天高文のペンネームで作家活動をする卯尾田さん。今回の絵本の基となった。

 山中さんは出版社を立ち上げ、初版2000部を発行。毎日のように書店を回る。「本が売れない時代に2000部も」と驚かれる度、「種ですから」と切り返す。

 「すべて手探り。でも強く願って頑張ったらかなった。絵本はそれを伝えるための種。全国のあちこちにまきたい」

 43ページ、1296円。書店かインターネット書店で注文。問い合わせはグート=電03(3399)6654=へ。

 

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