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【首都圏】

<談論誘発>小池氏の真価は五輪後 歴代9都知事のバックボーン

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◆月刊「都政研究」主宰 大塚英雄氏(おおつか・ひでお)氏

 最近「都政の劇場化」が話題になっている中で、初代の安井誠一郎氏に始まって現職の小池百合子氏まで九人の東京都知事が都政運営の中心に据えてきたバックボーンについて振り返ってみた。

 米軍の連日連夜の空爆で東京が廃虚と化した中で、「パンか都市計画か」を迫られた公選知事第一号の安井氏は、躊躇(ちゅうちょ)なくパンを選んだ。「夢を語るより、都民を飢えから守るのが知事の責務」と考え、自ら東北などの生産県へ「米行脚」。東京への供出に頭を下げて回った。

 しかし終戦時に三百万人だった東京の人口は一九五二年には七百万人に達した。無秩序に膨張する東京に歯止めをかけるため首都圏整備法などができたが、財源が伴わず効果は限定的だった。

 その後、五九年に登場したのが国際オリンピック委員会(IOC)委員でもあった東龍太郎氏。六四年には東京五輪開催が決まった。これを契機に、首都高速道路や東京の主要道路の整備は飛躍的に進み、東京の街は一変した。

 ハード中心の都政から遅れがちな福祉や公害などソフト面に光をあてたのが、六七年に当選した初の革新知事の美濃部亮吉氏。都民対話・参加を掲げ、特に女性に人気を博した。「都政劇場化」の先駆者でもあった。しかしオイルショックの直撃で、財政破綻、最後は応援団の労働組合からも「革新の敵」と罵倒され悲惨な幕引きとなった。

 そして七九年に「都政管財人」の触れ込みで鈴木俊一氏が就任した時の都財政は、法でいう赤字限度額を超えていた。これを三年間で解消、「マイタウン東京構想」の実現にも乗り出し、その象徴が都庁の新宿移転だ。ただ、その代償として「大型ハコもの」(公共の建物)を下町中心にばらまき、維持管理が都財政に重くのしかかった。

 その後の青島幸男氏は、都市博覧会の中止の公約を果たしたものの、「オール野党」の中、一期で知事の座を下りた。代わって九九年に登場した石原慎太郎氏の特徴は、車の排ガス規制、新銀行設立など、都政を「線」ではなく、「点」として捉え、長期的視点に立った都市づくりに積極的ではなかった。

 石原氏の任期途中での退任で、知事は猪瀬直樹、舛添要一氏と続くが、共に短期間で“自滅”した。そして「都政大改革」を引っ提げて登場した小池氏。豊洲市場問題などでは「追い風」に乗った感じだが、真価を問われるのは築地市場移転の決断と人口減少が始まる二〇二〇年東京五輪後の東京の諸課題にどう立ち向かっていくかだろう。

 1934年生まれ。68年10月から都政・区政専門の月刊誌として発行してきた「都政研究」は今年3月号で廃刊

<歴代東京都知事の任期と在職時の年齢> (1)安井誠一郎氏(1947年4月〜59年4月)3期(56〜68歳)(2)東龍太郎氏(59年4月〜67年4月)2期(66〜74歳)(3)美濃部亮吉氏(67年4月〜79年4月)3期(63〜75歳)(4)鈴木俊一氏(79年4月〜95年4月)4期(68〜84歳)(5)青島幸男氏(95年4月〜99年4月)1期(62〜66歳)(6)石原慎太郎氏(99年4月〜2012年10月)4期(66〜80歳)(7)猪瀬直樹氏(12年12月〜13年12月)1期(66〜67歳)(8)舛添要一氏(14年2月〜16年6月)1期(65〜67歳)(9)小池百合子氏(16年8月〜)1期(64歳〜)

 

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