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【首都圏】

<ニュース読者発>ベッドタウン・里山集落 古民家でつなぐ

古民家の庭で開かれたチャーハン教室

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 高度成長期にベッドタウンとして開発された千葉市緑区の土気(とけ)地区で、NPO法人「土気NGO」は築七十年の古民家を拠点に、食や農にかかわるイベントを通じて、地域の人々に交流の場を提供する活動を続けている。「団地の造成で『見える開発』は進んだが、人と人をつなげる『見えない開発』は置き去りにされてきた」。理事長の武田伸也さん(37)=同区=らには、そんな思いがある。 (早川由紀美)

 「ベッドタウンと隣り合って里山集落があるんです」(武田さん)。拠点となる古民家がある緑区小山町は、近隣で開発が進む中、昔ながらの農村の姿をとどめた地域。高齢化が進む中、昨春「空いているから使わないか」と、一緒に活動する仲間から古民家の所有者を紹介された。

 武田さんは土気地区のベッドタウンで生まれ育った。人口減少や空き家について取り上げた本紙の連載「縮む首都圏」(一月三日から三回連載)を読んで「私たちの活動が、同じベッドタウンを抱える行政にメッセージを発信することにつながると思う」とメールをくれた。

 高校生のときにバスケットボールをするため米国に渡り、スペインの大学院で平和学を学んだ。帰国後の二〇〇四年、ストリートバスケのコート整備を市に働き掛ける署名活動をしたのをきっかけに地域にかかわり始めた。

 〇六年に完成したコートに集まるようになったアーティストの仲間とともに、地元農産物などを販売し、音楽演奏なども楽しめる「土気サタデーマーケット」を定期的に開催するようになった。地域に併存する里山集落とベッドタウンをつなぐ試みだ。

 一三年にNPO法人として「土気NGO」を設立。二十〜五十代の地域の担い手二十五人ほどが活動し、街づくり塾なども開催している。メンバーの一員で農家の太田裕輔さん(28)=同区=は「楽しいから参加しているが、有機農業で宅配をしている自分のような農家の形があることを、イベントなどを通じて知ってもらうこともできる」と話す。

 ストリートバスケは民主主義を体感する場でもあると武田さんは言う。「部活だったらコーチがいて、審判がいる。そういう人たちがいないストリートバスケは、自分の意思で参加し、楽しい空間や時間を共有するために、互いにルールを守る」。そういう意思決定の文化を街づくりにつなげていければという思いがあるという。

 その輪を広げていくため、古民家の横にある蔵を改装し、皆で料理を作ったりできる「パブリックキッチン」や、ウオーキングやランニングをする人たちの拠点を整備する構想もあり、資金を募っている。ベッドタウンから子ども世代は独立して巣立っていく中、「人口減少が食い止められるとは思わないが、帰ってきたときにふらっと立ち寄れる場所をつくることができたら」と武田さんらは願う。

 

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