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【首都圏】

意義ある研究を寄付で支えて 東京芸大で11のクラウドファンディング

東京芸大との提携を発表した米良代表(前列左)と沢学長(同右)=東京都台東区の同大で

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 東京芸術大学(東京都台東区)は、インターネットで幅広く資金を募る「クラウドファンディング」の全学的な活用に乗り出した。もともと文化に関する予算が少なく、大学に支出する国の予算も減っている中、大学の研究活動を一般の人たちに知ってもらう狙いだ。「新時代のパトロン(後援者)」をキャッチフレーズに、社会的に意義のある研究を寄付で支える文化を根付かせようと動きだす。 (神谷円香)

 十一件のプロジェクトへの寄付募集を始めた六日、沢和樹学長は記者会見で、「社会が芸術を支える文化が日本でも醸成されるべきでは」と協力を呼び掛けた。会見で示した文化庁の調査によると、昨年度の日本の文化予算は千四十億円でフランスの四分の一。国家予算に占める割合は0・1%で、1・09%の韓国、0・89%のフランスに遠く及ばない。

 沢学長は「芸術はどうしても予算配分で後回しになる。歴史的にも芸術は貴族らがパトロンだった。一般の人も投資する文化が他国では醸成したが、残念ながら日本ではまだない」と語った。

 これまで芸大は「アフガニスタンのバーミヤン大仏の壁画の復元」と「貴重なSPレコード二万枚の保存」の二つのプロジェクトで必要な資金を、国内最大のクラウドファンディングサイト「Readyfor(レディーフォー)」で集めた。予想より多くの寄付があり手応えを得たため、レディーフォーと提携し、全学的なクラウドファンディングの実施を決めた。

 レディーフォーに支払う手数料は寄付からでなく大学の予算で負担する。一月から学内で公募して集まった二十三件の提案から準備が整った十一件を公開し、目標総額は二千五百万円余りになった。今後も順次、新しいプロジェクトを発表する。

 芸大の活動に関しては、芸大の学生を紹介する本「最後の秘境 東京芸大−天才たちのカオスな日常」(新潮社)が昨年発売され話題になった。沢学長は「芸大にミステリアスな魅力を感じている人と積極的にコミュニケーションを取り、芸大のファンを固定化したい」と話した。

 全国八十六の国立大学法人に国が支出する運営費交付金の総額は減少傾向にある。国は大学に対し独自の特色を打ち出すよう求め、昨年度から交付金の一部を各大学の「戦略」に応じて傾斜配分している。

 芸大との事業に先駆け、レディーフォーは昨年十一月、筑波大学と業務提携した。提携後に始めた同大の研究者のプロジェクトは目標額の一・七倍の資金を集めた。米良はるか代表は会見で「クラウドファンディングは、世の中が何を求めているかを可視化する。大学のプロジェクトにこんなに賛同者がいると分かれば、国も『もっと支えなければ』と考えるきっかけになる」と話した。

<クラウドファンディング> インターネットで広く小口の資金を募る寄付集めの方法。出資者には額に応じて返礼がある。2011年3月に国内初のサイトを立ち上げたレディーフォーでは、集まった額の17%が手数料となるが、目標額に達しなければ無料で寄付金ももらえない。

 

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