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【首都圏】

<ニュース読者発>高次脳機能障害、囲碁で居場所を 大田区で家族ら集い月1回開催

囲碁を楽しむ高次脳機能障害のコウジさん(右)と、支える妻の柴本礼さん(中)=大田区内で

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 記憶力や注意力が低下する高次脳機能障害の人に、楽しみながらリハビリにつながる居場所をつくろうと、当事者や家族らが集う囲碁の会が東京都大田区で始まった。本紙読者でイラストレーター柴本礼さん(54)=世田谷区=も、この障害がある夫と参加。「いろんな人と出会い、刺激を受けて夫がより前向きになった」と小さな変化に期待している。 (奥野斐)

 腕を組んで考え、そっと碁を打つ。「おお、前回より進歩した。教えがいがある」。ボランティアで教える男性に言われ、柴本さんの夫、コウジさん(55)の頬が緩んだ。「楽しかった」。今月二日、大田区の障がい者総合サポートセンターであった会の一こまだ。当事者ら約三十人が集った。

 会は、昭和前期に活躍した故木谷実九段の三男で日本棋院墨田支部長、木谷正道さん(69)=神奈川県平塚市=が企画。「囲碁は脳への刺激になる。外出のきっかけにもなるのでは」と大田、品川、目黒区の家族会メンバーらに提案。二月から毎月第一日曜、木谷さんらが教えている。

 コウジさんは、銀行員などを経て独立一年後の二〇〇四年九月、くも膜下出血で倒れ、後遺症でこの障害を負った。リハビリや職業訓練で都内の企業に就職。現在は週五日働くが、少し前のことを忘れる、脈絡のない言動、すぐに怒る…などの症状がある。

 囲碁の会は三回目だが、自宅でテレビに向かってぶつぶつ言っていたのが、パソコンで静かに囲碁ソフトをする時間も増えてきた。柴本さんも、コウジさんに教えるため囲碁教室に通い始めた。「囲碁も、夫婦の話題になっている」。木谷さんも、他の参加者を見て「顔つきが変わってきた」と実感する。

 囲碁の効用に詳しい東京都健康長寿医療センター研究所医師の飯塚あいさん(29)は、「効果の医学的な証明はまだない」としつつも「記憶力や注意力、物事を順序よく行う遂行機能を向上させる要素があると考えられる。リハビリとして有効では」と話した。

 囲碁の会は、次回は五月七日午前九時半から。参加費四百円。問い合わせは「フォーラム大田高次脳」代表の栗城さん=電080(5450)0052=へ。

<高次脳機能障害> 脳卒中などの病気や交通事故によるけがなどで脳が損傷を受け、記憶力や注意力の低下、感情や行動の抑制がきかなくなるといった症状が出て、日常生活に支障を来す。損傷部位や年齢などにより、症状は個人差が大きく、外見上ではわかりにくいため、周囲の理解が得にくい。東京都の2008年調査では、寝たきりに近い重度も含めて都内に約5万人と推計される。

 

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