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【首都圏】

<しみん発>廃校舎利用 拠点づくり 「七浦診療所」院長・田中かつらさん(57)

旧七浦小学校の改装工事の着工式で、玉串をささげる田中かつらさん(手前)=千葉県南房総市で

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 少子高齢化が深刻な問題となっている千葉県南房総市千倉町の「七浦診療所」院長で神経内科医の田中かつらさん(57)は、3年前に廃校になった小学校校舎を活用し、医療、介護サービスだけでなく、住民の生活支援も担う拠点づくりの準備に奔走している。田中さんらは、早ければ年内のオープンを目指している。 (山口登史)

 田中さんは二〇〇六年、夫婦で南房総市千倉町に移住した。同じころ、近くの診療所が院長死去のため閉院。当初、田中さんは近隣の別の市の病院で勤務医として働く予定だったが、地元住民の強い要望を受け、〇八年、千倉町大川に七浦診療所を開業した。

 患者の大半は高齢者。診療中の雑談で、近年は食品や生活雑貨を扱う商店が相次いで閉店したり、無料の巡回バスが廃止されるなどし、「最寄りのスーパーに行くのも大変」といった患者たちの悩みを頻繁に耳にした。週一回のコンビニの移動販売が頼みの綱という患者もいたという。

 「自他ともに認める世話焼きな性格」の田中さん。「診療所、介護施設、生活雑貨店などを一挙に集められないか」と思い立ち、診療所近くにあり、一四年三月末での閉校が決まっていた七浦小学校の利活用検討委員会のメンバーに提案。満場一致で賛成を得た。

 田中さん発案の計画は一五年から動き始めた。計画は題して「七浦プロジェクト」。七浦は現在の南房総市千倉町の白間津、大川、千田、平磯地区の総称。旧七浦小の校舎を▽医療▽介護▽保育▽生活−などのエリアに区切り、診療所のほか、通所リハビリ施設、病児保育所などを設置する計画という。

 高齢者が多く、公共交通機関が不便な七浦の事情を踏まえ、買い物や草刈りの代行サービスを提供する地元のNPO法人と連携し、手作りの総菜販売店を運営したり、コミュニケーションの場としてイートインスペースも設ける予定。このほか、田中さんたちは、グラウンドで盆踊りや餅つき大会などの交流イベントも開きたいと考えている。

 旧七浦小は、体育館を除いて市から借り、全面的に改装する予定で、四月七日に着工式があった。田中さんは「歩いて行ける場所で交流を深めてもらい、七浦に住んで良かったと思える場所にしたい」と意気込みを語っている。

<たなか・かつら> 東京都出身。川崎医科大卒。神経内科医で認知症治療が専門。都内の病院で長年勤務する傍ら鹿児島県の奄美大島で地域医療にも携わる。ミュージシャンの夫と南房総市に移住した。

 

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