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【首都圏】

<談論誘発>「昇降型車止め」普及を 通学路の安全確保 新潟市でスタート

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◆埼玉大学大学院教授・久保田尚(くぼた・ひさし)氏

 先の「談論誘発」で、子どもの交通事故防止について触れられていたが、事故を根絶するためには、可能なあらゆる対策を講じる必要がある。子どもへの教育はもちろん必要だが、危険な運転を繰り返すドライバーへの働きかけも極めて重要である。

 残念ながら、日本のドライバーには決して褒められない運転をしている方が少なくない。朝方の登校時に、車の通行を規制する「ウマ」と呼ばれる簡易バリケードをボランティアの方が出し入れしている例が多いが、車を降りてウマを移動して進入する運転者が少なくない。注意すると、けんかになるケースも。

 関東地方のある小学校で見守り活動をしているPTAの方から衝撃的な話を伺った。学校周辺なので、朝方車の通行止めを実施しており、ウマ二枚分の幅があるが、二枚を平行に並べるのでなく、「千鳥状」にずらすことになっているというのだ。

 「平行に置くと移動されてしまうが、千鳥状であれば車は通れるので移動されない」というのである。つまり違法進入の完封を諦めて、「少しでも進入車両が減ることを期待」して、千鳥状に配置せざるを得ない状況に追い込まれているのだ。

 公益財団法人・国際交通安全学会は「通学路Vision Zero」という研究を実施している。子どもの死亡事故ゼロを目指し、まず通学中の事故を根絶しようというビジョンに基づく研究だ。

 この研究では国が昨年技術基準を定めた「ハンプ」(減速のための緩やかな凸部)等の生活道路対策をはじめ「ゾーン30」(最高速度三十キロ制限)や歩車分離信号など、交通安全対策を駆使することを前提に、地元住民や学校関係者および自治体や警察などによるワークショップを開催、対策を議論するという仕組みを提唱している。

 この仕組みを活用した画期的な対策が先月、新潟市日和山小学校の周辺道路で実現。地域の児童数減少に伴う小学校統合新設で抜け道が新たに通学路になることから、通学時間の通行規制を実施したうえで、全国初の「ライジングボラード」を導入した。

 これは通行規制の時間に合わせて自動的に地面から昇降する車止めで、むやみに移動される心配はない。許可車両や緊急車両は、リモコン等を使って通行できる。欧州で普及しているこのライジングボラードは、今後各地の通学路を守る手助けとなるだろう。さらにハンプ等の対策を駆使することで、通学路、やがては市街地全体の事故が根絶されることを望みたい。

 1958年生まれ。都市交通計画が専門。工学博士。特に生活道路の安全対策など研究。2005年から現職

◆子ども事故多発

  <山口朗氏 (交通事故総合分析センター主任研究員)の意見要約>

 (1)小学1年生に当たる6歳と7歳の歩行中の交通事故による死傷者数は他の年齢層に比べて2倍である。事故は道路を横断中に発生することが多い。

 (2)1年生の歩行中の事故の発生時間は登校時の午前7時台と下校時の午後3時から暗くなるまでの数時間に約7割が発生、事故の約8割は自宅から1キロ圏内で起きている。

 (3)道路を歩く子どものそばを通行する時は車の速度を落とし、ブレーキペダルの上に足を置くなど、子どもがいつ横断しても対応できるよう備えておかなければならない。 (5月6日付)

 

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