東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

<起きて半畳、寝て一畳 元記者の僧侶修行録> (7)寒さ、ひび割れと闘う

朝の鐘をつく鐘司。4月半ばになると5時すぎには明るくなる=名古屋市千種区の日泰寺で

写真

 僧堂の修行では座禅や食事、掃除などのほか、さまざまな役割(配役)がまわってくる。

 その一つが鐘司(しょうす)と呼ばれる鐘を鳴らす担当だ。鐘の音は、一つ一つに行事の始まりや時間を告げる重要な意味がある。月に二〜三回配役としてまわってきたが、冬になると厳しい寒さが最も身にこたえる役回りだった。

 鐘司にあたると、午前四時半に起床して衣に着替え、外にある鐘楼に向かう。それから四十分間、夜空の下で決められた間隔で鐘をつかなければならない。

 厳しい冷え込みが続いた一月末、今月二回目の鐘司がまわってきた。鐘楼に着くと、近くにある温度計は氷点下一・五度。雲一つない夜空に北斗七星が美しかったが、「さすがに心が折れそうになった」と鐘をつき終わった後、雲水仲間にぼやいたのを覚えている。

 「寒さは今が底だそうです。各人、体を冷やさないよう体調に気を付けるように」。この朝、雲水を指導する老師が皆に声をかけたが、靴下を履けるわけでもない。作務衣(さむえ)の下に下着をこっそり重ね着した。

 雲水を冬の間、悩ませるのは足のひび割れだ。朝起きると、前日まで何ともなかった足の裏が突然、ひび割れしている。

 ひと冬の間で私も何度も経験した。素足で歩いているため皮膚が極度に乾燥するのが原因だと、薬剤師の資格を持つ雲水仲間が教えてくれた。一度ひび割れすると何日も治らず、歩くたびに痛んだ。寒さに耐えるのも修行と思うしかなかった。

 (太平寺徒弟・吉田昌平)

     ◆

 本紙記者を五十歳で退職し、覚王山日泰寺(名古屋市)で修行した体験録です。次回は二十日掲載予定です。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by