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【首都圏】

「ファミサポ」経験者 里親に育てよう 中野区のグループが拡充案

ファミサポを里親につなぐ仕組みについて話し合う斎藤さん(右から2人目)ら里親たち=東京都中野区で

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 経済的な事情や虐待などのため親元で暮らせない子どもの受け入れ先として、厚生労働省は、これまで主流だった施設入所から里親委託を増やす方針を示している。なり手の少ない里親の確保が課題となる中、東京都中野区の里親らのグループが考えた、里親を増やすアイデアが注目されている。 (石原真樹)

 中野区の里親や大学教授らでつくる「チャレンジ中野!Grow Happy Family & Community」が提案したのは、各地で子育て支援として定着している「ファミリー・サポート事業」(ファミサポ)との連携だ。提案は三月、東京大公共政策大学院が主催した政策コンテストでグランプリを受賞した。

 二〇一五年度末時点で、親元で暮らせない子どもは全国で約三万六千人。このうち八割以上が児童養護施設や乳児院などで集団生活を送る。近年、子どもの心の安定や社会性を身に付ける上で、より家庭的な環境が望ましいとされ、国は里親委託を中心にする方向へ舵(かじ)を切った。しかし、施設の定員数が約三万六千五百人分あるのに対し、登録里親は約一万七百人に過ぎない。

 里親を増やす手段としてグループが注目したのがファミサポだ。市区町村に登録した住民が一時間数百円で数時間〜一泊程度預かる有償ボランティアの制度。十七万人以上が預かる側として登録し、子連れで行けない外出をしたり、保育所終了時間までに帰れなかったりする保護者が利用している。

 一般の大人が親子関係のない子どもを自宅で世話するのは、里親制度と同じ。グループは「子育て支援への思いは共通する」と考え、ファミサポで子どもを預かった経験者に行政が積極的に働き掛け、里親を目指してもらう仕組みを提案した。希望する経験者は研修を受け、ベテラン里親と交流しながら、子どもを預かる期間を延ばすなど段階的に経験を積んでもらう。

 グループの代表で里親の斎藤直巨(なおみ)さん(42)は「里親は、虐待を受けた子どもなど難しいケースを扱って負担が重いというイメージが強く、ハードルが高いと思われがちだが、実際には『保護者の入院中だけ』など短期間のニーズもある」と説明。ファミサポとつなぐことで「数時間から十数年の長期まで切れ目なく子どもを預かれる体制を地域でつくりたい。親子を分離する期間の短縮や、虐待防止につながる」と狙いを話す。

 都内二十三区は、昨年五月の児童福祉法改正で、これまで都の管轄だった児童相談所を独自に設置できるようになった。「ファミサポも里親も区の担当になり、一連で考えやすい環境が整った。ぜひ検討して」と呼び掛けている。

<里親制度> 都道府県知事などに認定された里親が、保護者の死亡や病気、虐待などにより家庭で暮らせない18歳未満の子どもを児童相談所の委託で預かり、自宅で育てる仕組み。児童福祉法に基づき、養育費は公費で支給される。国は里親への委託率を7年以内に75%以上にする目標を設定した。

 

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