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【首都圏】

コンビニ経営 闇に迫る 「集中出店」「見切り販売」…苦境のオーナー

コンビニ経営の矛盾を突く映像作品を製作した土屋トカチさん=横浜市中区で

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 社会の課題に迫る作品を手掛ける3人の映画監督でつくるグループ「ローポジション」(横浜市中区)の土屋トカチ監督(45)が、コンビニ経営やフランチャイズ(FC)契約の闇に迫った映像作品「コンビニの秘密−便利で快適な暮らしの裏で」(39分)をNPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)と共同で製作した。就職を前にした大学生や高校生に見てもらい、社会の矛盾を考えてほしいという。 (志村彰太)

 土屋さんは路上生活者(ホームレス)や労働問題など、社会が抱えるひずみに関心を持ち、当事者らに取材を重ねている。撮影中の映画「アリ地獄天国(仮)」は、大手引っ越し会社と闘う男性社員に密着。昨年、映画の一部の「恫喝(どうかつ)する引っ越し会社幹部」のシーンを動画サイト「ユーチューブ」に投稿すると、大きな話題を呼んだ。

 コンビニの問題に意識を高めたのは「ブラック企業にご用心!就活・転職の落とし穴」(二〇一三年)などの撮影で、従業員の声を聞いてから。複数のアルバイト従業員が「店舗間競争で売り上げ上位になるため、給料の二割分おでんを買わされる」「レジの金額が五千円合わず、自腹で負担させられた」などと証言。土屋さんは「コンビニに的を絞った作品を撮るべきだと思った」と話す。

 作品では、右肩上がりに増えるコンビニの店舗数と総売上高に対して、苦境にあえぐFC加盟店オーナーや従業員らの声を紹介。「狭いエリアに集中出店する『ドミナント戦略』で、一店舗当たりの売り上げは減り、人手不足に陥る」「売り上げが上がるほど本部に支払うロイヤルティー(経営指導料)の割合が上がり、頑張ってももうからない」とオーナーらは訴える。

 中でも土屋さんが驚いたのは、売れ残りを割引する「見切り販売」を巡る攻防。そのまま廃棄した方が本部にとって利益が大きい契約形態になっていて、土屋さんは「食料廃棄を促進するシステムだ」と断じる。

 東京高裁が一三年、見切り販売を妨害したと認定し、本部に損害賠償を命じている(翌年、最高裁で確定)。ただ、判決が出た後も本部は見切り販売に消極的で「FC契約の継続可否をちらつかせて見切り販売を思いとどまらせる動きがある」(土屋さん)という。

 土屋さんは「二十四時間営業のコンビニは社会のインフラといわれる。でも、誰かを犠牲にする仕組みは持続可能ではなく、本当のインフラとはいえない」と話している。

 作品のDVD(税抜き五千円)はPARCで販売中。二十八日午後七時から東京都千代田区のPARCで上映会があり、土屋さんも登壇する。入場料五百円、要予約。

 問い合わせはPARC=電03(5209)3455=へ。

 

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