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【首都圏】

医師が企画 戦争や海外の話掲載 「患者様は語り部」発行

本紙読者らの戦争体験や海外生活の経験が載った「患者様は語り部」

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 「患者様は語り部」。印象的なタイトルで、患者の戦争体験や海外経験を紹介する便りを、東京都健康長寿医療センター(板橋区栄町)の付属図書館が発行している。本紙読者の女性も、終戦時の体験を掲載。企画したセンター顧問の桑島巌医師は「お年寄りの貴重な経験を共有したい。生きがいを見いだすことも医者の仕事」と思いを語る。 (奥野斐)

 院内にある談話室の「養育院・渋沢記念コーナー」の一角に、これまで発行した一〜七号の「語り部」が並んでいる。

 高血圧専門外来で診察する桑島さんは、病気の背景にあるストレスや要因を探るため、患者の家族や人生の歩みを時間をかけて聞くようにしている。その中で出た話を書くように薦め、一昨年三月に「語り部」が生まれた。患者の多くは七十〜九十代。「発信することが、生きる喜びや社会の役に立っているという気持ちにつながる」

 第一号は「ポルトガルをあるく」。患者女性が住んだ同国の坂道や石畳の街並み、屋台などを写真入りで紹介。構成やタイトルは、付属図書館の宮本孝一さん(49)が考えた。「個人的な体験なので、語り部という言葉がぴったりかなと」。タイトルは目立つように印章ふうのデザインにした。

 本紙読者の山岸美代子さん(91)=同区=は、本紙発言面に掲載された投稿を二度、「語り部」で紹介された。一昨年十月発行の三号は「軍需工場での敗戦」。昨年一月発行の四号は「跡継ぎ失った人形師の父」。通院の際、読んでいる人を見かけ、うれしかったという。「桑島先生の勧めがなければ書くこともなかった。少しでも戦争体験者の話を知ってほしい」

 A4判カラー。随時発行で、同コーナーを訪れた人なら誰でも自由に手に取ることができる。

「お年寄りの貴重な経験を共有したい」と話す桑島巌さん

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