東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

<しみん発>水牛に村の再生託す 水牛家族・竹見智恵子さん(77)

共同作業で作ったバリュウ・バッグを手にする農民たち=フィリピン・レイテ島で

写真

 フィリピン・レイテ島で暮らす貧しい農民の支援を30年間ボランティアで続けている「水牛家族」=東京都練馬区。レイテの農民に贈った水牛は100頭を数える。「同情ではなく連帯を意識し、身の丈に合った活動をやっている」と代表の竹見智恵子さん(77)。レイテは台風や洪水被害も多い。現在、災害時に島民のシェルター(避難場所)にもなるコミュニティ・センターの建設を計画しており、建設費のカンパを求めている。 (土田修)

 竹見さんは一九八七年、農村支援プロジェクトで初めてレイテを訪問。当時、山間の小さな村には水道も電気もなく、島民はやせた土地で野菜を栽培して細々と暮らしていた。「貧困の原因の一つには太平洋戦争による徹底した農業の破壊があります。水田耕作には水牛に土を踏ませる『蹄耕(ていこう)』を行いますが、四四年の『レイテ戦』で水牛の数は半減したそうです」

 戦後も続いた農村の疲弊を目の当たりにした竹見さんは日本の戦争責任を痛感。水牛の購入資金を日本で集め、優先度の高い村から順番に毎年数頭ずつ水牛を配る活動を始めた。「『生命のシンボル』でもある水牛に村の再生を託す、というのが私たちの願いです。ODA(政府開発援助)で置き去りにされた本当の被害者に対する手づくりの支援です」

 九七年からは現地の山岳地帯に自生するバリュウ草を使った手づくりバッグを日本で販売する自立支援プロジェクトを開始、貧困農民にとって現金収入を得る道を開いた。「伝統工芸の技術を生かし、現地住民が共同でひとつひとつ手編みで作っています。自然素材のぬくもりが伝わってくるので日本でもファンができました」

 レイテは二〇一三年十一月に最大風速九〇メートルという巨大台風ヨランダに襲われ、死者行方不明者約七千人を出した。これを契機に、建築家の協力でシェルターと収納場所を兼ね備えた耐震・耐風のコミュニティ・センターを建設する「カイビガン(友だち)・プロジェクト」を進めている。

 「災害で何もかも奪われた地域で皆が集い、学び、作業する施設をつくるのが夢」と竹見さん。プロジェクトではカンパだけでなく、現地でセンター建設に力を貸す労力や資材の提供を呼びかける。水牛家族の支援活動にはフィリピンの「バヤニハン(助け合う精神)」が生きている。

<たけみ・ちえこ> 1939年生まれ。1987年2月に牧師とともにフィリピン・レイテ島を訪問し、貧困地帯の農村支援プロジェクトとして村民に水牛を贈る活動を開始。カイビガン・プロジェクトでは資金カンパを募集するほか、センター建設を手助けするワーキング・ツアーも計画。問い合わせは同プロジェクト実行委員会=03(3929)6275=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報