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【首都圏】

<ふるさと発>愛語る両親「絵本作家・ちひろ」育む  

ちひろさんの両親が交わした手紙を前にする松本さん=長野県松川村の安曇野ちひろ美術館で

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 淡い筆致の子どもの絵で知られる絵本作家いわさきちひろさん(一九一八〜七四年)の父母が、結婚の前後にやりとりした手紙の一部を、ちひろさんの長男で絵本評論家の松本猛さん(66)=長野県安曇野市=が十一月に出版するちひろさんの評伝で紹介する。松本さんは「当時としては自由な雰囲気で恋愛を楽しんでおり、ちひろが父母の影響で豊かな感性を育んだことがうかがわれる」と語る。

 ちひろさんの父岩崎正勝さん(一八八四〜一九五三年)、母文江さん(一八九〇〜一九七七年)は現在の同県松本市出身。東京の正勝さん宅で同居するのは挙式した一九一八(大正七)年三月から約一年後で、一七年末の婚約から主に手紙で近況を報告し合った。

 同県松川村の安曇野ちひろ美術館は、一八年一〜十一月にやりとりした計五十八通を保管。それによると、文江さんは、当初は夫に仕える決心を伝えていたが、やがて「エタニティー(永遠)にハピーになること深く信じております」(二月十五日付)と記述。

 結婚後に東京の正勝さん宅に一時滞在し、渋谷の道玄坂を訪れたことを振り返り「二人で手を引いてあの坂を幾度上下したでしょう」(九月十七日付)と書き送り、正勝さんはサクラの花やクローバーなどの押し花を送っている。

 松本さんは「結婚は家と家の結び付きとの価値観が支配的だった中で、正勝と文江は個人の恋愛感情を大切にしていたことが分かった。そんな両親の考え方が、ちひろの創作活動の源流の一つになっているのではないか」と話している。(林啓太)

 

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