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【首都圏】

<談論誘発>車両の国際化で乗り切れ 「バスツアー」好調近年運転手も不足

バス専門紙「バスラマインターナショナル」編集長

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◇バス専門紙「バスラマインターナショナル」編集長・和田由貴夫(わだ・ゆきお)氏

 手軽なバス旅が首都圏などで人気だ。東京の定期観光バス会社「はとバス」の利用人員は過去になく好成績。東京を地盤にする優位さがあるものの、それ以上に都民も乗りたくなるコースを探し出す企画力の成果だろう。

 はとバスは、貸し切りバスによる「主催旅行」も実施しているが、標準よりも定員を抑えた豪華な車両を使うコースの人気が高い。同じバスツアーで、しかも見学場所や食事などで価格が高くても、プレミアム感のある商品が人気なのである。

 この傾向は、首都圏のバスツアーにも共通し、先駆けとなったのは九年前、都内の有名百貨店が企画した上得意先対象の「プレミアムクルーザーの旅」。使用車両は大型バスなのに定員十人、豪華な食事に宿泊代、見学料など含め一泊二日で二十万円前後。リピーターが多く、当時、バス業界は驚いた。

 潜在需要があることに刺激を受け、大手旅行会社は次々と高級バスツアーを始めた。このツアーは全体の中ではわずかな比率だが、売上単価は大きく、旅行会社や運行するバス事業者はステータスを感じ、乗務するドライバーやガイドの向上にもつながる。近年は、バスガイドが乗らない貸し切りバスが増え、バスドライバー不足も深刻だ。プレミアム観光バスツアーに人気が集まれば、憧れの職種になり、事業環境改善にも効果が生まれる。

 こうした背景には、二〇〇〇年に行われた貸し切り事業の需給調整規制の撤廃が大きい。事業の新規参入組には門戸が開かれたが、価格競争が激化してコストが高い電鉄系や老舗事業者の退出も目立った。このところ貸し切りバスの事故も起きている。

 利用者に選ばれる、貸し切りバスを目指す方策の一つがプレミアム路線だ。価格で勝負する、どこも同じ“金太郎あめ”的な貸し切りバスから抜け出さなければならない。

 ただ、プレミアム観光バスに乗れる“富裕層”は、十年後も存在するだろうか。次の時代の備えが必要だ。全長十二メートルを超えるバスの開発、定員が増えれば輸送コストが減るし、同じ定員ならバスの居住性が向上する。日本だけの基準である車両全高三・八メートルを緩和すれば、居住性に難がある二階建てバスの魅力は再評価されるだろう。

 自動車に関する基準の国際調和は少しずつ進むが、バス業界挙げて車両法規の国際化に力を注ぐならば、必ずや業界の活性化につながるし、新しいバス旅の魅力を利用者に提供できる、きっかけになると思っている。

 1953年生まれ。76年からバス研究家。商用車専門誌「モータービークル」の編集者を経て90年に独立

 <東京観光> 「はとバス」によると、2016年7月1日〜17年6月30日までの東京観光コースの利用者数は93万4306人。前年同期比9.6%増え、バブル期に迫るいきおい。軽井沢スキーバス転落事故や昨年8〜9月の台風の影響などで、昨年9月まで低迷していたが、直後の秋の行楽シーズンから利用者が増えたという。一方、訪日外国人コースは同期比5.6%、団体での貸し切り利用は15.4%それぞれ減ったが、昼コースは11.5%、夜コースは14.5%それぞれ増えた。話題の施設や2階建てオープンバスを増やしたことなどが要因となった。

 

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