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【首都圏】

武蔵野の残景 後世に あすから新宿写真家8人展

「園児もお花見に」=東京都青梅市で、宮崎廷さん撮影

写真

 明治の人気作家国木田独歩の名作「武蔵野」の消えゆく自然風景を「記憶遺産」として残すため半世紀にわたって撮影を続けるグループが二十六日から東京都新宿区で写真展を開く。写真家田沼武能さんと七人の仲間による「それぞれの武蔵野」展。詩情漂う作品群は今では貴重な日本の原風景を彷彿(ほうふつ)させ郷愁を誘う。

 七人の写真家は東松友一、今泉信孝、橋本英男、松本渡、並木松太郎、宮崎廷、矢野靖博の各氏。武蔵野はかつて東京西部から埼玉南部にかけて広がっていた原野、雑木林など広大な台地の呼称。明治二十九(一八九六)年、結婚に破れた独歩は渋谷村に移り、武蔵野を朝夕散策しながら傷心を癒やし名作を書き上げていく。その幻想的な情景は比類なき名作として今もファンに読み継がれている。

 高度成長とともにそうした自然風景や民間風習は徐々に消えていったが、それでも開発を免れ昔ながらの面影を残す地域は随所に残っていて、近年は雑木林や古民家の保存運動なども広がっているという。田沼さんは「武蔵野には大昔から脈々と受け継がれる文化があります。里山風景に農家の営み、古民家、伝承芸能…。時代の波に消えゆくそんな貴重な遺産を写真に記憶し、後世に伝えていくのは私たちの務めとも思っているのです」という。

 作品は雑木林や川で遊ぶ子どもたち、夏の夜に乱舞するホタル、四季折々の野山の草花、かやぶきの古民家や秋の収穫風景など約六十点。詩情と色彩豊かな風景は東京近郊とは思えないような異世界を感じさせ心が洗われるようだ。

 会場は新宿区新宿一の四の一〇、アイデムフォトギャラリー「シリウス」。無料。十一月一日まで、日曜休館。地下鉄丸ノ内線新宿御苑前駅から徒歩二分。問い合わせは同ギャラリー=電03(3350)1211=へ。

 

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