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【首都圏】

<談論誘発>住民らの安全が第一だ 旅客機の落下物首都圏大丈夫?

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◇航空評論家・秀島一生(ひでしま・いっせい)氏

 九月二十三日、KLMオランダ航空のパネル(重さ四・三キロ)が大阪市内に落下した。同二十七日には全日空機が飛行中に落としたパネルが茨城県稲敷市内で見つかった。相次ぐ落下物で、危険が共有されつつあるが、こうした危険にどう対応したらよいのか。

 東京では、高層タワーマンションをはじめ、住宅・店舗の密度は世界一の水準だが、都民の多くはスカイツリーよりちょっと低く、東京タワーよりちょっと高い高度で二分に一回、飛行機が降りてくることを知っているだろうか。

 国土交通省は、二〇二〇年東京五輪開催で、羽田空港の発着便を増やす必要から新宿区や品川区、港区、大田区の都心上空を飛行する新ルートを検討している。そのルート直下では、落下物に加え、騒音や大気汚染などの心配がある。

 飛行機は、着陸前の高度四、五百メートルで車輪を出す。この時に氷塊やボルトなどの部品の落下が多く、国交省は羽田、成田空港での進入の際「ギアダウンは海上で」と通達を出しており、新ルートの部品落下が心配だ。国交省によると、昨年十月までの七年半で、四百三十七件の部品が紛失したとの報告があった。

 航空機の安全運航を支える三大要素は「整備」「乗員(パイロットや客室乗務員)」「管制」だが、規制緩和のあおりを受けて飛行機の整備は外注が主力だ。さらに大事故につながる恐れがなければ次の基地に戻ってきた時に整備する「キャリーオーバースタンダード」の基準も低下。そして各空港の管制官も、過密ダイヤ・増便の割には、人的配置がカット、飛行間整備も免除されている。

 ボーイング社によると、三〇年にはパイロットがアジアで約二十万人、日本で約五千人不足する。ちなみに、日本の航空大学校では、一年に七十人しか育成できない見通し。定年を六十歳→六十四歳→六十七歳と、段階的に引き上げても対応できない。

 落下物関連をみると、世界はすでに二〜三の空港が“守り”を固めている。しかも、過密都市では低空飛行をしない政策を取っている。「香港啓徳空港」が廃止されたのも、そうした背景からである。

 今のところ、落下物を理由に航空会社を処分するルールはない。過密化する羽田空港を考えても、住民や乗客の安全第一の抜本的な対策が必要である。

    ◇

 1946年生まれ。日本航空国際線チーフパーサーとして30年勤務。98年から現職。拓殖大学客員教授

 <大阪市と茨城県の航空機の部品落下> 9月23日午前11時ごろ、関西空港を離陸して上昇中のアムステルダム行きのKLMオランダ航空機から部品が落下。大阪市内を走行中の乗用車を直撃し、車の窓ガラスが割れた。部品は右主翼の付け根部分の胴体パネルの一部。国交省は深刻な事態につながりかねない重大インシデントにあたると認定した。一方、同27日、旅客機の機体のパネルが茨城県稲敷市の鋼材メーカーの敷地で見つかり、全日空は翌日、同社運航のボーイング767が飛行中に落としたと発表した。けが人や建物の被害はなかった。

 

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