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【首都圏】

車いすラグビーのタイヤ痕除去 渋谷区職員が2年がかりで考案

試行錯誤し編み出した方法でスタッフと床を掃除する田中さん=東京都渋谷区で

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 二〇二〇年東京パラリンピックで日本代表のメダルが期待されている「車いすラグビー」は、車いす同士の激しいタックルと細かなターンが特徴だ。悩みは体育館の床面についてしまうタイヤ痕。そこで、東京パラ大会で競技会場となる国立代々木競技場がある東京都渋谷区の職員が、タイヤ痕を消す効果的な方法を考案した。必要なのは、ある液体と雑巾、そして地道に床を拭く人の手だ。 (神谷円香)

 ガシャン! ドーン! 大きな音が体育館に反響する。首都圏の四チームが参加し十月二十八日に渋谷区スポーツセンターで開かれた第一回区長杯の決勝戦。選手がタックルするたびに観客から歓声が起きる。試合後、タイヤに塗った滑り止めの松やにと摩擦したゴムで、床のあちこちに黒い汚れがついていた。

 スタッフやボランティア十数人が雑巾を手に汚れを拭いていく。「霧吹きをして、一、二分したほうが汚れが浮くよ」。区オリンピック・パラリンピック推進課長の田中豊さん(54)が助言する。十回ほど強くこすってやっと落ちる汚れもあるが、田中さんが用意したこの霧吹きは、消しゴムで消していた二年前より格段に効果がある。

 中の液体は、大阪市のスポーツ用品会社が販売する業務用洗剤「ゴールデンジムクリーナー」に少し水を入れたもの。田中さんは二年前、日本代表がこの場所で合宿するようになってから、さまざまな掃除方法を試してきた。研磨剤入りの洗剤では床が傷ついてしまう。この洗剤が、最も効果があった。

 「ウィルチェアーラグビー」とも呼ばれる車いすラグビーのチームは全国に十一あり、約百人の選手がいる。タイヤ痕は長年の課題で、練習や試合で体育館を借りようとしても「傷や汚れが残る」と懸念され断られる例がいまだにある。日本ウィルチェアーラグビー連盟事務局の竹城摂子さん(56)は「定期利用できる施設を確保しているチームは少ない」と語る。

 掃除が楽になったとはいえない。区長杯後、清掃を終えるには十数人で一時間ほどかかった。選手たちは普段も練習の後に、雑巾を棒の先に付け車いすを動かし床を拭いている。仕事などをやりくりして捻出する貴重な練習時間はさらに少なくなってしまう。

 田中さんは、より効率的な掃除方法を企業が研究してくれるのを願う。「今は人手がいる。これが障害者スポーツの実態。でも皆でやればできる。少しの時間でも掃除を手伝いに来てくれる人がいれば選手の負担は減る」と話している。

 

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