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【首都圏】

<談論誘発>捉え直したい教育の本質 自主性重んじるモンテッソーリ

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◆フリージャーナリスト 三河主門(みかわ・しゅもん)氏

 子どもの自主性を重んじる「モンテッソーリ教育」に再び注目が集まっている。

 イタリアの女性教育者、マリア・モンテッソーリが考案・提唱した教育法で、首都圏など各地で広がる。将棋界最多の二十九連勝を達成した最年少棋士・藤井聡太四段(15)やフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏らも学んだ。人気再燃の背景に何があるのか。

 横浜市青葉区の「マリア・モンテッソーリ・エレメンタリースクール」。小学三年生が午前中の三時間、自分の興味で学びたいことを決めて「研究」に没頭する。カリキュラムはなく、全国各地の山地・山脈や平野を覚える男の子、「平方根」の解き方に一週間取り組む女の子。どの子も目が輝き、作業に集中する姿はやる気にあふれている。

 「この教育は生命への援助です」と強調するのは同校を運営する学校法人高根学園の高根澄子理事長。保育園や幼稚園だけでなく、日本初のモンテッソーリ教育の小学校を開いたことで知られる。「大人のプログラムを与える従来の教育ではなく、子どもの自然発達に従う教育で、子どもが能動的に、自分で自分をつくる」と説明する。

 自主的な学びから得るのは「達成感」と、「大いなる自信」だ。この教育では、乳幼児に感覚が養われる環境を準備する。自由に全身を動かして、取りたいものに手を伸ばし、裏山の小さな崖を登る。それぞれに熱中し飽きるまで繰り返すうち、「自分でできるという自信が積み重なっていく」(高根理事長)。小学生になると、自ら独自のテーマを見つけるようになり、積極的に学ぶ。自信を積み重ねて「自己肯定感」が高まり、新たな世界を切り開こうという意欲が生まれる。

 自己肯定感について、国立青少年教育振興機構が二〇一四年に実施した高校生対象の調査によると、「私は人並みの能力がある」と回答したのは日本55・7%。中国の90・6%、米国の88・5%、韓国の67・8%に比べ、かなり低いことが分かる。

 自己肯定感の低さは「事なかれ主義」で、「横並び」に陥りがちな日本の教育の在り方にも原因がないだろうか。近年に大企業が起こす不祥事を見るにつけ、日本の公教育も大きな転換を迫られているように思えてならない。

 子どもの自主性を伸ばすためには子どもを観察し、忍耐強く導く教師が不可欠だ。そのためには知識や経験をもった教師を増やさなければならないが、こうした動きを機に教育の「本質」を捉え直してもよいのではないか。

    ◇

 1967年生まれ。日本経済新聞記者を経て、今年6月から現職。起業・独立情報サイト「助っ人」編集長

<マリア・モンテッソーリ>(1870〜1952年) イタリア生まれの同国初の女医で、女性解放運動でも活躍。女医として担当した知的障害児を独自の教具を使って教育し、知能を伸ばす教育法を考案。その後、健常児にも応用する中で子どもの感覚や知能を高め、創造性を発揮できる教育法を確立した。著名な経営者や芸術家を輩出したとして脚光を浴びた。第2次世界大戦が欧州で激しくなると、69歳からインドに約7年間滞在。東洋的な思想も取り入れて、自身の教育法を深化させた。国際モンテッソーリ協会(AMI)はオランダに本部がある。

 

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