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【首都圏】

<しみん発>自給自足の非電化技術 非電化工房代表・藤村靖之さん(73)

非電化工房の入り口にある「非電化カフェ」(左奥)とヤギ小屋(手前)=栃木県那須町で

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 栃木県那須町の緑豊かな敷地に広がる非電化工房。毎週土日に開店する非電化カフェにつながる入り口ゲートをのぞくと大きな白いヤギがメエメエと鳴きながら出迎えてくれた。同工房代表の藤村靖之さん(73)は「エネルギーとお金を使わなくても実現できる豊かさ」を提唱する。工房では一般市民を対象に見学会や非電化製品を作るワークショップを開催する一方、“弟子”に迎えた若者たちに自給自足の非電化技術を伝承している。 (土田修)

 非電化カフェは壁に厚さ約六十センチのストローベイル(稲藁(わら)のブロック)を積み重ね、白い漆喰(しっくい)で覆われている。屋根は杉皮葺(ぶ)きだ。ヤギ小屋は壁にアースバッグ(土のう袋)を積み重ね、壁も屋根も白い漆喰で塗られている。藤村さんが設計し藤村さんの弟子たちと一緒に作ったという。

 「屋根も壁も窓もドアも内装もすべて手づくりです。素人でもお金を使わないで頑丈な建物を作ることができます」(藤村さん)。敷地には非電化の籾殻(もみがら)ハウスやソーラーハウス、風呂小屋、バイオトイレなどが立ち並ぶ。また非電化の冷蔵庫や食材を乾燥させるソーラー・フード・ドライヤーなどがあちこちに展示されている。いずれも藤村さんの発明だ。ここは非電化のテーマパークだ。

 工房では毎年数人、自給自足技術を習得する弟子を募集している。トレーニングメニューは建築・機械操作・農業・工芸・食品・エネルギーなど盛りだくさんだ。

 藤村さんは「食・住・エネルギーの自給力を養うのが目的です。一年間で自立して生きていくことが可能になります」と話す。全国に巣立った弟子は千人を超え、各地で非電化技術を伝承しながら生計を立てているという。

 今春、朴元淳ソウル市長の発案で非電化工房ソウルが開設された。藤村さんは毎月一週間、ソウルで韓国の十二人の若者に自給自足技術を伝授している。「格差社会が進む韓国も日本も希望を失った若者が増えています。一人でも多くの若者に希望を与えるのが私の使命です」。“分かちあうビジネス”の輪は海を越えて広がっている。

<ふじむら・やすゆき> 1944年生まれ。工学博士、発明家。エネルギーに依存しない社会システムや生活スタイルを提唱し、モンゴルやナイジェリアなどで非電化製品の持続型産業を提供。2007年に栃木県那須町寺子丙の約3万平方メートルの土地に非電化工房のテーマパークを開設。fujimura@hatsumei.net

 

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