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【首都圏】

「男性視点」変えるには 国際女性会議 メディアの構造議論

国際女性会議で「メディアにおける女性」というテーマで行われた分科会=東京都内で

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 女性の性的アピールを強調した記事や広告、テレビ番組があふれていることが、今月一〜三日に東京都内で開かれた政府主催の「国際女性会議」で議論になった。「男性視点」に偏った情報の伝え方を変えるためにはどうすればいいか。 (柏崎智子)

 国内外の報道関係者や研究者が参加した分科会「メディアにおける女性」では、性的な女性表現や「家事は女性」と連想させる家庭の描き方などが、しばしば「炎上」を招いている現状が報告された。メディアで働く女性の少なさに原因を見る声が相次いだ。

 日本経済新聞の阿部奈美編集局キャスター長は、日本新聞協会がまとめた数字を挙げた。今年四月現在、全国の新聞、通信社の記者のうち女性は19・4%で二割に満たない。協会によると、管理職(編集部門)ではさらに減り7・3%で、記者の原稿を見る「デスク」や取材チームのまとめ役の「キャップ」を合わせても8・1%にとどまる。役員ではわずか3%だ。

 英字紙「ジャパンタイムズ」の女性初の編集責任者、大門小百合さんは、管理職に女性が少ないことを特に問題視した。「どんなニュースをそろえ、何をトップに報道するかを決める大事な編集会議に出席できる女性が少なく、意見が反映されにくい」と指摘。その結果「メディアが、女の子はかわいくて細く、若くないとだめ、という風潮をなぞり、変えられない」と話した。

 外務省女性参画推進室長から転身した松川るい参院議員は、女性議員の取り上げ方への違和感に言及。「発言や政策より、服装やまつげがどうとかを注目しがち。もう少しプロとして中身を見て」

 一方、海外メディアの参加者は、各セクションのトップに女性が就任することは普通になってきていると説明した。フランス通信(AFP)のウルスラ・イジー東京支局長は、現在の取り組みとして、過去の記事や写真、映像で女性をどう取り上げてきたか調査中と報告。「結果をまとめ、報道の基準を作る」とした。

 国内メディアの状況を変えるかぎとして、駒沢大の山口浩教授は情報公開を挙げた。「管理職の女性比率など自社の情報を明らかにしないメディアが多い。自分たちの事実を伝えないと、ジェンダーにかかわる問題の報道で腰が引ける。一つ一つの表現を考えることも大事だが、自らの実態を直す努力をするべきだ」と訴えた。

◆PR動画、CM 後を絶たぬ「炎上」

 「家事、育児は女性の仕事」など固定的な性別役割意識や性差別を助長する情報を記事や広告の形でメディアが流し、批判を浴びるケースは後を絶たない。

 今年7月、ユーチューブで公開されたタレントの壇蜜さん出演の宮城県の観光PR動画は、唇のアップなど性的な表現が多用され、県に400件以上の批判が殺到した。昨年は鹿児島県志布志市が、ウナギを水着姿の少女に擬人化したふるさと納税PR動画でおわびに追い込まれた。

 日用品大手「ユニ・チャーム」の紙おむつのネットCMは、女性が育児に追われる姿を描き「その時間が、いつか宝物になる」と締めくくる内容。「励まされた」という声の一方、女性1人に子育てを担わせる「ワンオペ育児」の奨励だと否定的な意見も相次いだ。

 ネット記事では、先月の衆院選公示直前にニュースサイト「日刊SPA!」が「有権者が選ぶ『キスしたい女性政治家』総選挙TOP10」と題した記事を掲載。「“美人”と呼ばれる政治家」31人を挙げて男性100人にアンケートし、結果を「記者会見や演説を聞いていると、思わず口をふさぎたくなる」などのコメントとともに紹介した。

 これに対し「セクハラだ」「女性蔑視」との声が上がった。ヤフーニュースは一時転載したが、まもなく削除。本紙はSPA!編集部に企画意図の取材を申し込んだが回答はなかった。 (奥野斐)

 

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