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【首都圏】

<お空の気持ちが知りたくて 気象予報士試験受験記>(上) 災害記事に生かそうと…きっかけは妻のひと言

受験勉強で使った参考書や問題集の数々。自作のファイルも少しずつ増えていった

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 「試験、受けてみれば」。自宅で晩酌をしていた時に妻が発したそのひと言が受験のきっかけだった。前後の流れはよく覚えていないが、テレビを見ながら、気象状況を解説する気象予報士のことを話していたような気がする。「そうだね。受けてみようか」。二〇一六年一月のことだった。

 天気に本格的に関心を持つようになったのは、福井県で勤務していた一三年九月中旬、全国に甚大な被害をもたらした台風18号が最初だった。半月前に運用が始まったばかりで、数十年に一度の災害時に発表される「特別警報」が福井など三府県に出た。新聞やテレビで「命を守るための対応を」と繰り返し警戒を呼び掛けたにもかかわらず、大勢の死者やけが人が出る大災害になった。

 新聞にもっとできることはないか−。漠然とそう考え続けていた時に投げかけられた妻の言葉。早速インターネットで情報を調べると、試験はマークシート式の「一般知識」と「専門知識」、天気図を見ながら気象状況を分析する論述式の「実技」の三科目だった。

 それまで台風や洪水の取材で何度も気象台を訪れていた。アイドルや中学生が気象予報士試験に合格、というニュースを目にした記憶もある。合格率5%と知っても「何とかなるだろう」と思っていた。

 書店で専門書を見て、ハードルの高さに気付かされた。一般知識の項目には「落下速度の速い大きい雨粒が小さな雨粒を併合して成長する過程」「気圧傾度力とコリオリ力の均衡による地衡風の計算」など、とても「一般」とは思えないことが書いてある。

 専門知識も気象レーダーの仕組みから、衛星画像による雲形の特定といった分野まで範囲が広い。受験、やっぱりやめようか…。しかし、妻に宣言した手前、試合開始前に白旗を揚げたのでは格好がつかない。一日一時間でも勉強することにした。

 試験は年二回、一月と八月にある。勉強を始めて半年後の昨年八月に初めて受験し、コツコツやった効果があったのか、辛うじて一般知識に合格。今年一月には専門知識も通った。両科目とも合格後、一年間有効。八月二十七日の試験で、残る実技さえ受かれば。

 試験間近のある日、受験のきっかけについて妻と話す場面があった。「あの『受けてみれば』のひと言で受験を決めたんだよなあ」。「そうだっけ?」。妻の記憶にその会話は残っていなかった。 (布施谷航)

    ◇

 年々、多くの死者・行方不明者を出す大型台風や豪雨が増えている。その発生の仕組みを知り記事に生かそうと、四十四歳の記者が気象予報士試験に挑んだ。その体験記を三回にわたり掲載する。

 

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