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【首都圏】

<お空の気持ちが知りたくて 気象予報士試験受験記>(下) 資格活用 形はさまざま 知識を蓄え一歩ずつ

気象庁前で気象予報士の登録通知書を手にする布施谷航記者=18日、東京都千代田区で

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 いよいよ最大の難関、実技の試験が始まった。八月二十七日、会場の成蹊大(東京都武蔵野市)の教室で机に向かう。一問目は「低気圧の発達する過程」についての論述。オーソドックスな問題で取り組みやすく、「合格」の二文字が頭をよぎる。しかし、複数の前線と低気圧の動向を読み解く二問目は冷や汗をかきっぱなし。解答欄を埋めるのが精いっぱいだった。

 合格発表の十月六日、試験を運営する財団法人「気象業務支援センター」のホームページをあきらめ半分で見ると、自分の番号があった。妻と幼稚園児の娘(6つ)も喜んでくれ、二週間後、気象庁に登録して晴れて気象予報士になった。

 気象予報士は一九九四年、予報は気象予報士がするよう事業者に義務付けた改正気象業務法により生まれた。テレビのニュースに出てくる気象キャスターのイメージが強い一方で、実際に気象会社や気象庁などで働いている割合は少ない。二〇一三年の気象庁のアンケートでは、気象に関わる業務に就いているのは24%。では、約一万人いる気象予報士は資格をどう活用しているのだろうか。

 一五年に合格した会社員古久根敦さん(47)=江東区=は、「町のお医者さん」ならぬ「町の気象予報士さん」を目指している。地域の気象をピンポイントで解析し、十月下旬には等圧線の間隔が極端に狭いことなどから、台風21号通過後の強風発生を予想。近所の人に引き続き警戒するよう呼び掛けた。

 「気象はいろいろな形で生活に関わってくる。予報士にできることは幅広いんです」と古久根さん。農家は種まきや収穫の時期を調整し、アパレル業界や家電量販店は季節物の入れ替え時季を見極める。登山の際にも欠かせない。古久根さんは「それぞれの分野や地域で一万人の予報士が知識を生かせば、気象災害をもっと減らせるかもしれません」と強調する。

 今月十八日、新人気象予報士らを対象にした日本気象予報士会主催の説明会が千代田区の気象庁で開かれた。航空管制官やパイロットを目指す学生、主婦、元会社員らさまざまな経歴の人が集まり、私も新人の一人として出席した。

 神奈川県の藤沢通信部を拠点に活動する私の取材エリアは、湘南地域から、大勢の登山客が訪れる大山まで幅広い。今夏は冷夏と台風が海水浴場に深刻なダメージを与えた。十月には台風21号による高潮が江の島の防潮堤を越え、大きな被害をもたらした。新聞記者として、地域住民の一人として何ができるのか。気象の知識を蓄えながら、一歩ずつ進んでいこうと思っている。 (布施谷航)

 

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