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【首都圏】

<子どものあした>母子支援女性3人が全国巡回の写真展計画 里親家庭の理解広めたい

フォスタープロジェクトを企画した(左から)斎藤麻紀子さん、白井千晶さん、江連麻紀さん=横浜市で

写真

 里親家庭や養子縁組家庭への理解を広げたいと、母子支援に携わる女性三人が全国巡回の写真展を計画している。里親の講演も合わせたお披露目イベントを来年三月、東京都内で開く予定。現在、展示する里親家庭などの写真や、運営費の寄付を募集している。 (奥野斐)

 三人は、静岡大人文社会科学部の白井千晶教授(47)、横浜市の子育て支援NPO法人「Umiのいえ」の斎藤麻紀子代表(49)、写真家の江連(えづれ)麻紀さん(37)。英語で「(血縁や法的親子関係でなく)育てる」との意味がある「フォスター」プロジェクトと名付けた。

 出産情報の提供などに取り組む民間団体のスタッフとして知り合った三人。それぞれの仕事で里親らと関わる中で写真展を発案、今夏から準備を始めた。

 撮影は、児童相談所や親などへの許可を得ながら進めた。江連さんが都内や長野県などの里親家庭や、五〜六人の子どもが養育する大人と一緒に暮らすファミリーホームを訪れ、これまでに六組の家族の食卓の風景や子どもたちの笑顔、遊ぶ姿などを撮った。子ども自身がカメラを持ってとらえた里親の写真もある。

 「ご飯を食べ、けんかして、笑って、泣いて…。日常の一瞬を撮影できるように意識した」と江連さん。斎藤さんは「いろんな形がある、すてきな家族の存在を伝えたい」と話す。

 国は、家庭的な環境での養育を勧め、二〇一六年三月末で17・5%の里親等委託率を、未就学児は約七年以内に75%を目指している。しかし、里親のなり手や支援体制が不足し、目標は遠い。白井さんは「写真展が理解を広げ、普及の一助になれば」。

 イベントは来年三月五日午後二時から、板橋区立グリーンホールで。参加費二千円、要申し込み。問い合わせはメールで。foster.photo2017@gmail.com

◆似た境遇…女性の支えに 生みの親が自身の経験語る

 写真展には、事情があってわが子を里親らに託した生みの親も参加する。「子どもを産んだ親も育てる親も、皆が子どもの幸せを願っている。その思いも伝えたい」と白井さんは話す。

 十月半ば、横浜市のビル屋上で、生みの親の幸子さん(34)=仮名=の撮影が行われた。出産後、子どもを特別養子縁組で養父母に託した。今は会社員として働きながら、予期せぬ妊娠で悩む女性たちの話を聞き、自立支援をしている。「生みの親として私が出ることで、少しでも同じような女性の事情や気持ちに関心を持ってもらえたら」

 数年前、妊娠して安定期に入ったころ、突然、結婚を前提に交際していた男性と連絡が取れなくなった。妊娠を喜び、互いの家族に知らせる直前だった。

 「中絶も考えたが、病院のエコーで動く赤ちゃんを見ると無理だった」。一人で育てようにも、結婚のため貯金の大半を男性名義の口座に移していて経済的に厳しく、実家の支援も限られた。行政に相談しても、保育所に空きはない。妊娠八カ月のころ、民間支援団体に行き着き、出産した。

 今も、当時のことを話すと涙があふれる。支援団体を通じて定期的に届く子どもの成長アルバムが生きる糧だ。「子どもを手放すなんてと言われるけど、あの時はそれしかなかった。私のような存在を知ってもらうことから、社会が良く変わっていけば」

<里親制度> 親の死亡や病気、虐待などの理由で、親と暮らせない原則0〜18歳の子どもを、里親が家庭環境の下で養育する児童福祉法上の仕組み。主に実親の元で暮らせるようになるまで育てる「養育里親」、養子縁組を前提とした「養子縁組里親」などがある。厚生労働省によると、虐待や親の病気などで親元で暮らせない子どもは2016年現在、約4万5000人。このうち里親家庭などで育てられているのは6200人余。原則6歳未満の子どもが対象で、実親との戸籍上の関係がなくなる特別養子縁組の16年中の成立件数は495件。

 

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