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【首都圏】

<談論誘発>国の規制 緩くていいのか 五輪控え正念場 受動喫煙ルール

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◆参院議員・松沢成文(まつざわしげふみ)氏

 二〇二〇年の東京五輪・パラリンピック開催まで三年を切った。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)が結んだ協定にのっとり、受動喫煙を防止するための効果的な規制のルール化が急がれる。

 昨年十月の参院予算委員会で、安倍晋三総理は東京五輪や前年のラグビーワールドカップ(W杯)を視野に、立法措置を含めた検討を明らかにした。以降、国会での法制化に向けた動きは何ら進展していない。罰則を伴う法律の施行までには、二年程度の周知期間が必要とされる。残された時間は少ない。

 厳しい規制を目指す塩崎恭久大臣(当時)のもと、厚労省は今年の通常国会会期中に飲食店を対象に床面積約三十平方メートル以下のバーやスナック以外は原則屋内禁煙とする案を三月に公表した。これに対して自民党が「喫煙」や「分煙」といった表示をすれば、面積百五十平方メートル以下の店舗で喫煙を認める案を主張、折り合わなかった。その後、今秋の臨時国会での法案成立を目指したが、衆院解散・総選挙の影響で、来年の通常会へ先送りされることが確実となっている。

 そうした中、加藤勝信大臣が指揮する厚労省が大手資本や新規の飲食店は例外としながらも、店舗面積百五十平方メートル以下であれば喫煙を認めるという自民党へ大幅に譲歩した案を検討していることがわかった。それでは、全飲食店の九割以上が規制を免れ、何ら意味をなさないザル法と言わざるを得ない。

 小池百合子東京都知事は「一ケタ間違いではないかと驚いた」と国の姿勢の甘さを指摘した。それもそのはず、五輪開催都市である東京都は床面積三十平方メートル以下のバーやスナックなどを除き原則屋内禁煙とする条例案を、来年二月の都議会定例会に提出する予定なのである。

 このままでは、都より国の規制が大幅に緩くなってしまう。五輪の会場は東京都以外に八道県四政令市に広がる。東京とそれ以外の地域のダブルスタンダードを認めることは海外からの観戦者に混乱をきたす。そもそも日本も締約するWHOのたばこ規制枠組条約が、受動喫煙を防止するために公共の場を禁煙にする罰則付きの法律を作ることを求めている。五輪開催は一つのきっかけにすぎない。

 接客従業員の健康への悪影響や飲食店以外の施設への規制のあり方など、検討すべき論点は多い。政治的な思惑と切り離し、国民の命と健康を守るための規制のあり方を、今こそ真剣に議論しなければならない。

      ◇

 1958年生まれ。松下政経塾、神奈川県議、同県知事を経て現職。著書に「JT、財務省、たばこ利権」など

<受動喫煙防止策としての厚労省案と東京都素案> 飲食店内は原則禁煙だが、店舗面積150平方メートル以下は喫煙可とできるというのが厚労省案。ただ新規開業や大手チェーンの店舗では喫煙を認めず、既存店舗の営業影響を考慮した臨時措置と位置付けている。一方、東京都素案は、飲食店など多数の人が利用する施設を原則屋内禁煙とする罰則付きの受動喫煙防止条例の素案を公表。例外は面積30平方メートル以下のバーやスナックなどだが、さらに従業員を使用しない店か、全従業員が喫煙に同意して未成年者を立ち入らせない店という条件を付けている。

 

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