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【首都圏】

<中野優理香のJAXAフライトディレクタ通信> 「きぼう」を守る宇宙の管制官

ISS最大の実験棟「きぼう」(JAXA/NASA提供)

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 日米など15カ国が参加し高度400キロの地球を周回する国際宇宙ステーション(ISS)。日本の実験棟「きぼう」はISS最大の実験施設で小型人工衛星を放出するなど重要な役割を果たしながら運用から間もなく10年を迎える。滞在する宇宙飛行士の“命綱”として、その活動を地上から指揮する宇宙航空研究開発機構(JAXA)フライトディレクタの中野優理香さん(28)が、知られざる任務について連載します。

 皆さん、こんにちは。私たちISSの運用管制官は、八時間ごとの三交代シフト体制で、二十四時間三百六十五日を切れ目なく、日本実験棟「きぼう」を守り、実験ミッションを遂行しています。

 任務は大きく分けて(1)宇宙飛行士とISSを守ること、そして(2)実験ミッションを遂行し、最大の成果を出すことの二つです。

 地球と同様に宇宙でも人命は大切で、何よりも優先されるべきものです。

 何かISSで不具合が発生した場合、運用管制官は宇宙飛行士と協力しながら人命を守るために最善を尽くします。

 もし、ISSで大きな事故が起きてしまうと、今後何十年とつづく有人宇宙開発の歩みを止めてしまうことになるからです。

 さて、ISSでは宇宙というユニークな環境を利用してさまざまな無重力実験が行われています。何年も何年もかけて準備を行ってきた実験がようやくロケットで打ち上げられ、宇宙飛行士の手元に届きます。

 今まで実験にかけてきた労力と情熱を考えると、決してミスはできないという気持ちになります。

 この中で運用管制を行う約十チームをリーダーとして統括し、最終決定権を持つのがフライトディレクタです。何か不具合が起きた場合の処置の最終決定をし、遂行している実験の責任を担います。

 「きぼう」を支える運用管制官は総勢約百二十人。チームは多岐に渡ります。

 まず、米航空宇宙局(NASA)や宇宙飛行士と連絡を取り合うJ−FLIGHT(フライトディレクタ)が総指揮を執ります。

 そのほか「きぼう」内の宇宙飛行の生命維持に関する機器の管理や、実験のための電気、通信管理など、それぞれのシステムのスペシャリストが一人ずつ管制卓に付き、フライトディレクタの指示のもと「きぼう」の運用を行っています。

 ここにさらに実験運用の管制官チームも加わります。

 フライトディレクタになるためには、管制官としての実務経験が望ましいので、他のチームの管制官を経てフライトディレクタになることが多いです。

 私は入社してからすぐ熱環境制御担当のチームに配属され、一定期間従事したあとにフライトディレクタの認定を取得しました。

(「JAXAフライトディレクタ通信」は随時掲載します)

 <なかの・ゆりか> 宇都宮市出身。宇都宮市立御幸小学校、慶応義塾湘南藤沢中・高等部を経て慶応大理工学部卒業。2012年4月、JAXA入社。14年8月からISSにある日本の実験棟「きぼう」のフライトディレクタ。17年11月から宇宙ステーション補給機「こうのとり」のフライトディレクタの訓練を始める。

 

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