東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

議員と子育て、両立の悩み 熊本の騒動機に都内市区議が語り合う

結婚や子育てとの両立に何が必要か書き出しながら、日々の思いを語りあう市議や区議ら=東京都豊島区で

写真

 熊本市の女性市議が先月、許可なくゼロ歳児の長男を抱いて議場に入り騒ぎになったことを機に、議員活動と育児の両立についての議論が、地方議員の間で改めて活発になっている。東京都内では、子育て中の議員が集まって座談会を開き、悩みを打ち明けあった。 (柏崎智子)

 若手女性議員でつくる「ウーマン・シフト」=代表・本目さよ台東区議(35)=が呼びかけた座談会は六日、豊島区で開かれた。男性も含めた区議・市議七人が集まった。

 熊本の女性市議の行動をどう見たか。「議席に連れていかなければならない状況は想像しにくい」と懐疑的な見方もあったが、あきる野市の子籠(こごもり)敏人市議(44)は、議員の子育てに社会の関心を呼び起こした点で「いいボールが投げられた」と前向きにとらえていた。

 板橋区の南雲由子区議(34)は、八カ月の長男がいる。「仕事に家庭を持ち込むな」「議員の仕事は片手間にはできない」などネット上で飛び交った声に「だんだんつらくなった」と言う。当事者だからこそ子育て世代の実感を議会で代弁できると思いながらも「仕事も子育ても中途半端になるのでは、と不安はある。そこを責められているように感じた」。

 中野区の森隆之区議(34)は「傷付きそうだからネットなどは見なかった」。三歳の長女との触れ合いをツイッターで発信するが「二十四時間、議員活動するのが務め」という区民の視線を感じるという。議員が保育所を申し込むことにも後ろめたさがある。

 ウーマン・シフトの調べでは、全国の市区町村議員のうち、二十、三十代の女性はわずか0・6%。背景の一つとして、出産や育児で休むことの難しさが挙げられた。

 新宿区の鈴木ひろみ区議(34)は、区議になって二人を出産した。区職員の規定を援用し産休は取得したが、育休は「任期のある議員にはそぐわず、制度化は難しい」と見る。根本的な問題として「議決権は重い」という声も上がった。一票を住民から託されているのに、議場にいないと投票できないから簡単に休めない。

 豊島区の有里真穂区議(34)は、妊娠八カ月で早産手前の「切迫早産」になった。医師に自宅安静を言われても入院するまで議会を休まなかった。「欠席でもあらかじめ投票内容を議長に伝え、投票できるしくみは作れないか」と提案した。

 子どもを議場に連れて行かないまでも、住民に要望を聞く場への同席は許可された事例も報告された。中野区の中村延子区議(36)は「まずはできたことを『前例』として広げていこう」と呼び掛けた。

◆板橋区議会柔軟対応 控室に預け議会へ「一つのモデルに」

 板橋区議会では13日の議会最終日、南雲由子区議が長男を議会内の会派控室でベビーシッターに預けて本会議に出席した。

 事前に所属会派と議長、議会事務局に了承を得て初めて実現した。シッターは区の有償ボランティア事業「ファミリー・サポート・センター」に自費で派遣を頼んだ。

 控室に子ども用の設備はない。南雲区議は、長男が床で遊べるようマットを持参。一人掛けのソファを二つ向かい合わせにして即席のベビーベッドにした。

 議会は午前10時に開会し、昼食休憩を挟んで午後2時ごろ終了。その間、長男はシッターの女性(68)に区役所内の子どもスペースや屋上庭園にも連れ出され、機嫌良く過ごした。

 南雲区議が所属する「市民クラブ」の高橋正憲幹事長は「私も共働きで子育てし、大変さは分かる。一つのモデルになったのでは」。大野治彦議長も「若い議員が増えれば、今後もこういうケースは出てくる。柔軟な対応が求められる」と語った。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報