東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

<談論誘発>収益上がらないシェアサイクル 公共財として扱うべきだ

写真

◆日本シェアサイクル協会副会長・小林成基(こばやししげき)氏

 東京では、電動アシスト自転車の「シェアサイクル」を見かける。これは数年前からいくつかの区が社会実験として導入していたが、一昨年春から都の仲介で相互乗り入れができるようになり、効果が表れてきているからだ。

 新たな交通手段として内外で脚光を浴びているシェアサイクル。手軽で安い移動手段の必要性が高まり、資源の有限性から過度のクルマ依存を見直し始めたところへ、急激に進む情報通信技術が「シェア(共用)する」ライフスタイルへの転換を強く後押ししている背景がある。

 最近のシェアサイクル市場には、携帯電話会社、建設コンサルタント会社、駐輪管理会社に加え、コンビニエンスストアチェーン、ネット通信から不動産あっせん会社までが参入しつつある。いくつかは中国で巨大シェアサイクル事業を展開するところと連携するなど、まさに戦国時代の様相を呈している。

 中国のシステムは借り出しと返却、支払いまでをスマートフォンのアプリで簡単にできる。現金、Suica、クレジットカードなど多様な決済が選べる日本や欧米のやり方と違って、スマホを持たない人は利用できない。

 北京や上海などの数十万台規模は別として、パリの二万四千台、ロンドン、ニューヨークなどの各一万台に比べ、日本は規模も小さく、市民の足として定着するところにまでいたっていない。

 「ドコモ・バイクシェア」が東京でようやく五千台を超えたが、同じエリアにシステムの異なった複数のサービスが進出、欧米では見かけない競争も起きている。安くて便利なサービスを選べるならいいが、業者の顧客囲い込み競争になっていて、利用者側のメリットは少ない。

 規模が小さいと便利さがない、不便なので利用しない、利用しないから規模拡大が図れない。従って自治体が補助金や支援を打ち切ると事業継続が難しく普及しない、という悪循環に陥っている。

 日本はシェアサイクルが公共財として扱われていない。公道の隙間に駐輪ポートを確保するには「社会実験中」の特別扱いとするしかない。パリやロンドンでは街中にシェアサイクルが目立つように配置され、市民らが見つけやすく使いやすい。市長が権限を握って公共交通の一つとして運営しているからだ。

 東京、あるいは首都圏全体を網羅するシステムを構築するため、そろそろ東京都知事がリーダーシップを発揮しても良いのではないか。自転車の活用やシェアリングエコノミーは時代の要請である。

 1949年生まれ。利用者目線の都市交通政策を提唱。NPO自転車活用推進研究会(東京)理事長

<シェアサイクル> 公共交通の補完や観光振興として自治体が金銭面などで支援するケースが多い。最近ではドコモやソフトバンクなどの携帯通信会社、セブン−イレブンなどのコンビニエンスストア、ラインやメルカリなどのネット通信などが参入しつつある。健康にもいいし、市街地の活性化に期待する自治体も多いが、収支面の不安定さなど懸念材料もある。市の事業で赤字の自治体もあるほか、利用者が特定のポートに集中したり、ポートの設置場所の確保なども課題となっている。ある自治体はコンビニや大手開発事業者に協力を呼びかけている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報