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【首都圏】

<談論誘発>安全・安心の対策急務 自転車と歩行者が共存できるまち

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◆青山(あおやま)やすし氏・明治大学大学院教授

 自転車は乗る人にとって快適だし、何よりも自動車に比べれば、はるかに環境にやさしい乗り物である。一月二十日付本欄にあったように、自治体や市民グループによるシェア自転車等の取り組みも進んでいる。

 一方で自転車は、駅前等に放置されると歩行者にとって交通の妨げとなる。さっそうと走っている自転車も時に歩行者にとって迷惑だ。高齢者・障害者・幼児などにとって“凶器”となることもある。同二十七日付の本欄にあったように、市民レベルで両者の調和を目指した取り組みも盛んになりつつある。

 世界的に大都市部において自転車利用の波はますます盛んになっている。ヨーロッパや米国の大都市でも自転車利用は盛んになりつつある。ロンドン・西部の主要駅「パディントン駅」のホームの一部が自転車置き場になったのは数年前のこと。近年はシティー周辺の都心部で、オフィスビルに自動車ではなく自転車の置き場が目立つようになった。シャワールームとロッカーが併設され、自転車通勤が増えている。

 ニューヨークでも、自転車レーンが設けられている道路が近年、目に見えて増えている。ベルリン等では、かなり以前から郊外へ行く鉄道だけでなく地下鉄車両にも自転車乗せ場が設置されていた。

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックには、海外から多くの人が自分の自転車を持って日本にやってくることも予想される。日本の都市でも、地域において歩行者と自転車が安全かつ安心して共存する対策が急務となっている。

 元々、自転車と歩行者が対立するのは、日本の道路が一般に狭いからでもある。高度経済成長時代に、自動車が一気に増えた時代に道路を急増させ、道路づくりそのものが市民の対立を生んだ。

 そして、特定の道路に自動車が殺到し、道路といえば公害、という時代が確かにあった。しかし、今や時代が大きく変わって、環境改善のためにも、また多くの機能を提供するための道路を考えるべき時代である。

 ユニバーサルデザインという考え方は、誰でもほかの人と同じように行動できるまちづくりを目指している。従来は、障害者・高齢者・幼児も行動しやすいことを中心に考えてきた。

 これからは、自転車と歩行者が共存できるまちづくりを目指すべきである。道路や関連設備、そして制度の整備を推進することによって自転車と歩行者の対立を解消することがまちづくりの重要な課題となっている。

 1943年生まれ。東京都職員を経て、石原慎太郎都政時代に4年間副知事。自治体政策や危機管理など専門。

◆自転車と社会

 小林成基氏(日本シェアサイクル協会副会長)の意見要約

 (1)新たな交通手段として内外で脚光を浴びているシェアサイクルだが、日本は公共財として扱われていない。

 (2)公道の隙間に駐輪ポートを確保するには「社会実験中」の特別扱い。パリやロンドンでは街中にシェアサイクルが目立つように配置され、市民らが見つけやすい。市長が権限を握って公共交通の一つとして運営しているからだ。

 (3)東京、あるいは首都圏全体を網羅するシステムを構築するため都知事がリーダーシップを発揮してもよいのではないか。自転車活用は時代の要請である。 (1月20日付)

 

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