東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

<談論誘発>国と地方のムダ18兆9000億円に 役割分担を明確にして

写真

◆地方自立政策研究所理事長・穂坂邦夫氏(ほさかくにお)

 地方の自立と住民自治の実証は、地方自身の責任といえる。「地域力が国の基盤」という誇りを持ち、地方自身がさまざまな改革を実現し、これらの実績を通して国民に自覚を促し、地方から国を変えることが求められる。

 国と地方の行政実務者は業務に懸命に取り組んでいると思う。しかし、前例を変える事は避けて通る。システムを作り上げた先輩への遠慮や未知への恐れもあるかもしれないが、システムによるムダは誰からも非難されない。

 経済が拡大し、税収が増え続けた時代は、疲弊した地方を一挙に再生するため、過剰とも思える行政サービスが生まれ、国と地方の行政構造システムに内包された多くのムダも黙認された。

 国が地方を支配し、保護する「中央集権システム」。このシステムは地方全体を全国一律「護送船団方式」で運営する。地方の個性を無視し自立や自己責任を放棄させ、行政経費の大幅なムダ遣いと地方の衰退を生んだ。徹底した国の保護行政である。

 地方の要求とはいいながら官の押しつけに近いさまざまなサービス事業を拡大し続けた結果、地方事業の九十六兆八千億円(国の事業とほぼ同額)のうち約四十三兆円(二〇〇八年調査)が福祉的事業以外の選択的事業として現在も実施されている。さらに不必要であっても使い切らなければならない国の補助金制度がムダに追い打ちをかける。

 国と地方の行政構造システムによるムダ遣いは、私たちの「国と地方の役割分担明確化研究会」の検証では、十八兆九千億円にも上る。なんとほぼ消費税収分に匹敵する。さらに、過疎化に立ち向かう手段を国に託した地方の衰退は加速し続けている。

 これらの解決策は、国と地方の役割分担を明確にすることに尽きる。現在の国と都道府県と市町村の事務事業(行政サービス)の一つ一つをどの行政体が事業主体としてベストかを分別する。

 廃止する事業も多い。補助金の廃止や交付税の算定も明確になる。特に地方の広域的な事業を担当する都道府県は市町村と同額の行政経費(約四十八兆円)を費消しているが、多重行政の弊害が特に大きく、大胆な改革が求められる。この改革で、地方の自己責任は回復し、自治体の将来を国の関与・保護から、首長と市民の力量に委ねることになるだろう。  

 この改革は政治家の決断で実現してほしい。「二〇二五年問題」の対応などでわが国はこれから膨大な行政経費が必要で、それには十分な財源の確保が求められる。

 1941年生まれ。埼玉県志木市議会議長、同県議会議長、同市長など歴任。05年に地方自立政策研究所設立。

<2025年問題> 第2次世界大戦後の1947〜49年のベビーブームに生まれた団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年。25年以降は約2200万人、つまり4人に1人が75歳以上という超高齢者社会が到来する。これまで国を支えてきた団塊の世代が給付を受ける側に回るため、医療、介護、福祉サービスの需要が高まり、社会保障財政のバランスが崩れると指摘されている。例えば、高齢者になれば病気にかかるリスクが高まる。生涯医療費の推移をみると、75〜79歳がピークを迎える。そして70歳以降に生涯の医療費の約半分がかかるとされている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報