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【首都圏】

金の満月と動物描く 多摩美大生、さいたま市で初個展

連作「調(つき)を抱く」(右)などを手に話す井上雅未花さん=神奈川県大和市で

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 金色に輝く満月に心焦がれる動物などを描く井上雅未花(あみか)さん=神奈川県大和市=の絵画展「動物たちへの賛歌」が二十一日から、さいたま市の伊勢丹浦和店七階のプチギャラリーで開かれる。初めての個展が平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会中となり、「金箔(きんぱく)を使う作品を競技者たちがあこがれる金メダルに重ね合わせて見ていただけたら」と話す。 (野呂法夫)

 井上さんは大和市で育ち、多摩美術大(東京都八王子市)の絵画科油画専攻で学ぶ。現在、三年生だが二十七歳。「今の季節は何が何でも芸大へ、との記憶がよみがえってきます」。東京芸術大油画専攻を目指し、六年間浪人した。

 四浪まで神奈川県鎌倉市大船の美術予備校に通い、その後は大船の精肉店で働きながら絵を描き続けた。「何度も受験し、私の絵が選考教授の目には新鮮に映らなかったのでは」と振り返る。

 七回受験のかいもなく挫折したが、ひたむきな努力は裏切らなかった。絵描きの基礎が備わり、多摩美大では金箔を使った「黄金テンペラ」に挑戦。中世ヨーロッパの教会を飾る祭壇の宗教画の技法を習得し、創作に励んだ。

 作業は自ら切り出した板に布貼りし、石こう塗りで下地を作る。その上に金箔を貼り、緻密に線描や点描の層を重ねていく。顔料には卵黄を混ぜて明るい発色を生かした作品となる。

 宗教画は聖書に登場する人物を描くが、「幼いころから好きだったネコや鳥などの動物たちに畏敬の念と祈りに似た思いを込めて絵筆を執る」と言う。

 その力量が認められ、大学生では珍しい百貨店美術画廊での初個展を射止め、二十五点を出品する。連作「調(つき)を抱く」は、さいたま市の調神社で鎮座する狛(こま)ウサギ、「ほしいままにする」ではネコの姿を描いた。ともに手に取れそうでできない輝く満月へのあこがれを表現した。

 井上さんは「金は希望と挑戦への光。絵画人生では諦めないことを学んだ。初個展は通過点の一つ。金メダルを目指して闘う選手のように精進して高みを目指していきたい」と語る。個展は入場無料で、二十七日まで。

 

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