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【首都圏】

<談論誘発>企業の採用選考 広がるAI活用 適切な使いこなし重要

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◆三菱総合研究所主任研究員・山野高将(やまのたかまさ)氏

 企業の採用選考に人工知能(AI)を活用する取り組みが急速に拡大。二〇一七年には、多くのAI採用サービスが登場し、多くの企業人事部の関心を呼んだ。

 「人事・人財管理」(HR=ヒューマン・リソース)に、先進テクノロジーを導入する取り組みは「HRTech」と呼ばれる。採用領域におけるAI活用という観点では本格的なHRTechの導入・拡大が進んだ一年であったといえるだろう。

 AI採用といっても、適用範囲は多岐に及ぶ。企業への応募者を増やすための母集団形成から応募者に対する性格・適性診断、書類選考、あるいは面接の評価まで、多くの採用業務にAIを適用できる可能性がある。いずれもこれまでその評価が少なからず人の主観評価に依存し、また限られたリソースで膨大な応募者の情報を評価しなければならず、自社に本当に合った応募者を十分適切に評価・判断できていないのではないかという課題感が企業人事部に根強く存在していた。こうした企業のニーズに対し、AIが提供できる「客観性」と「高速性」という二つの価値がマッチし導入が拡大した。

 一方で、本格的な普及に向けてはまだまだ課題も多い。採用にAIを活用することに対して、企業・求職者、あるいは有識者も含めて賛否両論あり、慎重な意見も多い。就職情報大手マイナビが二〇一七年に実施したアンケートによると、新卒採用に臨む大学生のうち56・2%がAIで選考されることに否定的な回答を示した。そのうち最も多かった要因は「漠然とした不安を感じる」で、多くの学生にとって「よくわからない」AIに評価されることへの抵抗感が読み取れる。

 もうひとつの課題は多様性の担保だ。AIにより、評価基準が単一化されることは、人財の画一化につながるのではないかという指摘も少なくない。理論的には十分なデータと適切な技術を用いれば、多様性を含めてAIが学習できる。しかし、現実的には限られたデータにより画一的な評価基準になってしまう可能性は残る。AIを導入する際には、単にその結果をうのみにするのではなく、きちんと目的に合致した分析になっているか、人により評価・検証されるべきである。

 AIを導入するには、何を目的として、そのためにどのデータを学習し、その結果をどう活用するのか、という点は人が考えるべきところであり続けるであろう。全てをAIに任せるのではなく、AIを正しく理解し、適切に「使いこなす」ことが重要だ。

 1980年生まれ。ソニー株式会社を経て現職。AI等高度ICT(情報通信技術)のビジネス活用が専門。

<採用選考のAI活用> 志望動機や経験談などを記入するエントリーシートの精査や性格診断だけでなく、実際の面接にまで拡大。あるサービス会社は「採用にかかる時間やコストを削減し、公平な基準で候補者の資質を分析し診断結果データを提供する」とPR。大手企業は1次面接の効率化や、面接・面接会場不足の解消、交通費・人件費などの抑制が可能。中小企業にとっては面接者数や応募者数を増やせるのがメリット。学生は移動交通費や宿泊代が不要。地方の学生や留学生の面接機会が拡大。他の企業と面接が重なることもなくなるという。

 

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