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【首都圏】

<311メディアネット>神戸新聞 自主防災組織啓発 住民が災害時の行動宣言

拡声器を使い津波避難の呼び掛けを訓練する中谷さん(中)ら=神戸市長田区で

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 阪神・淡路大震災で多数の家屋が倒壊、焼失した神戸市長田区の真陽地区は、その教訓から自主防災組織「真陽地区防災福祉コミュニティ」(防コミ)を中心に防災に取り組む。東日本大震災後、津波災害時にいち早く避難することを重視。その一つが災害時の行動を宣言する「クレド」(ラテン語で「約束」)だ。

 南海トラフ巨大地震では地域の八割が津波で浸水するとされる。人口は約六千七百人で新旧住民が混在。高齢化率は三割を超える。

 東日本直後、防コミ本部長の中谷紹公(つぐまさ)さん(70)は消防署の依頼でメンバーと地域を回り、津波の可能性を伝えたが、なかなか状況を理解してもらえなかったという。また、津波の映像に「諦めるしかない」との空気も広がった。

 そこで関西大学の近藤誠司准教授(災害情報学)と連携し始めたのが「クレド」。住民一人一人が災害時の行動や事前の備えを宣言する。「逃げるが勝ち」「早く高台へ」「子どもを落ち着かせる」。学生が地域や地元小学校を回って宣言を集めた。写真に収めてカレンダーを作り、各戸に配布して思いを共有する。「前向きな言葉を発することで積極性や責任感を生み出す」と近藤准教授は話す。

 ほかにも、拡声器を持った「トラメガ(トランジスタメガホン)隊」(約六十人)が鳴らすサイレンを聞いたらすぐ高台へ避難する“真陽ルール”も防災訓練に盛り込んだ。中谷さんは「巨大災害への意識を浸透させるためあらゆる手だてを講じたい」と力を込めた。

     ◇

 阪神・淡路大震災を教訓に地域の結び付きで防災力を高めようと、神戸市は各小学校区単位で「防災福祉コミュニティ」の整備を進めた。自治会や消防団が中心になり、現在は市内全域の191地区で発足。防災訓練や住民間の関係強化に取り組む。

<記者メモ> 「とても逃げられない」。東日本大震災の津波の映像に高齢者らは意気消沈したそうだ。気持ちは分かるが、後ろ向きな意識は災害への備えをも諦めさせてしまう。約束を口にすることで、自身の防災行動を見つめ直すきっかけにしたい。 (神戸新聞・井沢泰斗)

 

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