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【首都圏】

<311メディアネット>高知新聞 地域ぐるみで耐震ラッシュ

合板を壁に張る耐震工事。地域ぐるみで耐震が進んでいる=2月16日、高知県黒潮町出口で

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 高知県黒潮町の出口(いでぐち)地区は海に近い集落で百三十世帯ほどが集まっている。比較的古い家が多いこの集落で二年ほど前から、ちょっとした“耐震ラッシュ”が起きている。

 「『家の下敷きになったら逃げられなくなりますよ』と説得して、やっと工事のオッケーをもらえたんですよ」。合板を張り付ける作業が進む民家の中で、金子省三さん(62)が話す。金子さんはこの地区で建築業を営んでいて、「ほら、あの家もその隣も、うちが改修したんです」。

 南海トラフ地震の津波被害を軽減するために−。崩れた家に閉じ込められたり、けがをしたりしては避難どころではない。そこで高知県が力を入れるのが住宅の耐震化だ。

 全国最大の三四メートルの津波想定が出されている黒潮町は、改修工事の知識を持つ業者を増やすことに着手した。二〇一五年度から業者向けの勉強会を開催。登録業者数は現在三十八社で、一四年度の四倍近くに増えた。

 効果は目に見えて表れ、町の担当者は「業者が顔なじみなので、住民も工事を申し込みやすくなったようだ」と言う。補助金制度や、町職員らが各戸を訪問して耐震を勧める取り組みも相まって、一七年度の工事見込みは百三十四棟と一四年度の十倍になった。

 高知県住宅課によると、県全体の一六年度の改修工事は東京都に次いで多い千二百二十七棟。同課は「住民と顔なじみの業者を増やす『地域密着型』の耐震を広げたい」としている。

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 住宅の耐震化を進めるため、高知県や市町村による一律の補助制度(設計20万5000円、改修92万5000円)がある。上乗せの補助制度を設けている自治体もあり、黒潮町は一律分と合わせ改修工事の補助は最大で110万円。自己負担なしで改修できるケースも。

<記者の目> 国から津波高34メートルの想定が示された後、黒潮町は住民に広がった「あきらめ感」と戦ってきた。今では住民同士が住宅耐震を勧め合う雰囲気もある。町の「犠牲者を限りなくゼロにしたい」という強い思い。備えは着実に進んでいる。 (高知新聞社・海路佳孝)

 

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