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【首都圏】

<談論誘発>深刻なホームレス ネットカフェ難民も 「人ごと」では済まない

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◆都市調査会代表・青山〓(あおやまやすし)氏

 三月二十一日から二日間にわたって、米国から市民活動家のロザンヌ・ハガティ氏らを招き「ソーシャル・インクルージョン(社会的包容力)とホームレス・ゼロ」をテーマにシンポジウム(都市政策フォーラム主催)が、明治大学で開催された。

 初日はホームレスの人たちが自立して生活していくために一時的に宿泊する施設や就業支援事業、そして恒久的な住宅を提供する事業等を実施している各機関、各施設の人たちの報告があった。

 それぞれの施設やサービスが数百人から数千人の人を扱っていて、この日に報告があった分だけでも、東京で数万の人たちに対して、宿泊や食事、住宅、職業などのサービスが行われている。

 サービスに関わっている人たちの報告で注目されたのは、必ずしも路上生活を経ないで、例えば長期入院や刑期終了、家庭内暴力、精神障害、高齢化、失業など、さまざまな原因で居場所・寝場所を失い、直接施設に入ってくる人がかなり存在するということだ。自分が住む家や部屋を持たず、ネットカフェなどを泊まり歩く人もいる。

 子どもの貧困、非正規労働や外国人労働者の増加、豊かだった世代の高齢化、社会保障財源の逼迫(ひっぱく)など、潜在的な要因もあり、将来について楽観は許されない。

 都市政策フォーラムがテーマを「ソーシャル・インクルージョン(社会的包容力)とホームレス・ゼロ」としたのは、社会が一定の人々を何らかの理由で排除する仕組みや意識を持つと、これにより収入の道を絶たれて貧困に陥りホームレスになっていく悪循環に入り込むからだ。

 私がかつて、いわゆる「山谷地区」の福祉センター所長をしていたとき、最も効果があったのは公営住宅に優先入居させる制度と職業紹介だった。今日の日本には貧困層が密集して不衛生で、荒廃した地域に住むスラムはない。統計的には住宅数が世帯数を10%以上上回っているし、空き家や所有者不明土地も問題となっているほどだ。

 それなのに、都会などにホームレスの人々が存在し、またそうなる不安を強く抱く人々がいる。この問題を人ごとと思わずに「自分だったらどう取り組むか」と多くの人に考えてほしい。

 全日本不動産協会という“まちの不動産屋さん”が運営するホームページには、高齢者入居の相談に応じる物件がたくさん掲載されている。現在の対策を強化拡大し、関係機関の連携が進めば、ホームレスの人たちがゼロとなる日も遠くはないと思う。

 1943年生まれ。都職員を経て石原都政時代に4年間副知事。明治大学大学院教授兼務。自治体政策など専門。

<ホームレス調査> 厚生労働省が一昨年10月に実施したホームレスの全国実態調査で、平均年齢が初めて60歳を超えた。路上での暮らしが10年以上続いている人の割合も3人に1人で過去最高。実態調査は、ほぼ5年に1度実施。ホームレスが30人以上いる自治体などで1435人に面接した。平均年齢は61.5歳で、前回調査(2012年)の59.3歳を2.2歳上回った。路上生活の期間は10年以上が34.6%で07年に比べ倍増。半数以上が仕事をしていたが、平均月収は約3万8000円。求職活動者は11.4%で活動しない理由は「病気、障害、高齢」を挙げた。

 ※〓はにんべんに 上が八 下が月

 

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