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【首都圏】

<311メディアネット>宮崎日日新聞 講座で育てる防災リーダー

災害に備えた「かまどベンチ」を使う子どもたち。講座を通じ、防災意識を高める=2月18日、宮崎市・学園木花台小で

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 枕元に必ず置く防災ずきん、懐中電灯、靴の三点セットは「寝ている時の地震に備え、命を守るための防災グッズです」。宮崎市・木花中の清水蒼太さんは日頃から備えを忘れない。新聞やテレビなどで災害報道を目にすれば「自分ならどう行動するだろう」と考える。

 小学四年生の時、同市・木花地域まちづくり推進委員会が開く「少年防災マスター養成講座」に初めて参加した。それまで特に意識してこなかった災害や防災について講話などを通じ関心は高まった。

 江戸時代に日向灘で起こった「外所地震」で、津波にも襲われた同地域。二〇一一年に東日本大震災が起こり、南海トラフ巨大地震も懸念される中、同講座は一四年に始まった。年二回開き、子どもたちの防災意識を高めようと、住民だけでなく、地域の小中学校も協力して校内で受講者を募る。講座のプログラムは専門家による地震や津波などの解説、避難に関する図上訓練や高台避難などさまざまだ。

 昨年八月には熊本地震の被災地訪問も組み込み、子どもたちは損壊した熊本城などを目にした。同市・学園木花台小の森田悠月さんは「実際に被災地を訪れることが大事。登下校時の避難場所や、高い所がどこかを考えるようになった」と口にする。

 同講座は一七年度までに八回を終え、延べ百人が受講した。同委員会安全推進部会長の山崎泰道さんは「災害や防災への感性を高めてもらうのが狙い。将来の防災リーダーとなるきっかけづくりの場として継続していく」と力を込める。

     ◇

 宮崎市の木花地域などを襲った外所地震は1662年に発生。日向灘を震源とし、マグニチュード7・6と推定される。同市を中心に津波も襲い、沿岸部の村や田畑などが海に沈んだとされる。同地域の島山地区には古くから約50年ごとに供養碑が建てられ、現在7基存在する。

  =おわり

<記者の目>  自然災害による被害を最小限に抑えるには大人だけでなく、子どもの防災意識向上も欠かせない。ただ、ソフト対策は一朝一夕にはいかない。少年防災マスター養成講座のように、住民や学校など地域全体でスクラムを組んで備えを進めることが大切だ。

 (宮崎日日新聞社・赤塚盟)

◆東北大災害科学国際研究所・今村文彦所長 メディア共同で情報発信継続を

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 東日本大震災を機に全国で進む「各地域ならでは」の防災の取り組みを確かめる機会となった。各地の事例は「やっていそうでやっていなかった」内容が多く、他地域でも応用可能。実践の広がりが期待できる。

 被害想定に沿った対応は重要だが、想定を超える場合もあることを示したのが3・11の教訓。災害への感性を高める取り組みをしている宮崎の例を参考に、もう一段レベルを上げる努力をしていきたい。

 震災7年のタイミングに被災地の呼び掛けで連携の輪ができた意義も大きい。河北新報社の防災ワークショップ「むすび塾」を共催した縁で、地方メディア同士が備えの意識を高め合う場をつくった。

 メディアには、日常の備えや避難行動に結び付く情報発信が求められている。共同の情報発信を継続し、災害への備えを「自分事」と捉えられるよう住民の防災意識を高めてほしい。

 

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