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【首都圏】

<談論誘発>放置は社会問題起きる NYでは3000人に恒久的な住宅提供

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◆米国・市民活動家 ロザンヌ・ハガティ氏

 三月下旬、明治大学で開かれた「ソーシャル・インクルージョン(社会的包容力)とホームレス・ゼロ」をテーマにしたシンポジウム(都市政策フォーラム主催)に「世界からホームレスをなくす会」代表のカット・ジョンソン氏とともに参加した。

 私は二十七年前からニューヨークでホームレスの人たちのための恒久的な住宅提供を始めた。生活、健康、仕事、精神面などのケアを行うスタッフを常駐、入所者に家賃を払ってもらっている。この方法によってニューヨーク市内で計七棟、約三千人に住まいを提供しているが、全米では十万人以上である。

 最初、このプロジェクトに取り組んだ同市マンハッタン区の繁華街「タイムズスクエア」では、ホームレスの減少が繁華街再生の契機ともなった。地域内の荒れ果てた古い大きなビルを使ったため彼らは今もタイムズスクエアに住む。ビル一角にアイスクリームショップなどを開店、雇用の場もつくった。

 ホームレスの人たちを放置すると、社会的な問題が発生する。結核や肝炎など重い病気にかかり、医療費負担も大きくなる。早い時期にホームレス状態から抜け出すようにすれば、本人も助かるし社会的コストも小さくなる。

 私たちは公的資金の援助、個人や企業など民間からの寄付、金融機関の貸し付けなど多方面から支援を受け、税の減免措置も受けた。資金提供者に私たちの活動を理解してもらうため、ホームページの充実や定期的な報告など多くの努力をした。

 ホームレスの人たちは、それぞれが多くの困難を抱えており、充実したスタッフによるケアを必要とする。少しでも自分で働いて家賃を払い、住み続けたいと考えてもらうため、小さな部屋だがベッドやシャワー、机、流し台のほか、電子レンジなども各室に備え、快適な環境をつくることを心がけた。

 カット・ジョンソン氏が指摘するように、ホームレスは世界共通の問題である。個人・都市・国家の危機ともいえるが、同時に解決可能な問題である。ホームレスの人たちが、一時的な宿泊所を転々とし、その揚げ句、再びホームレスに戻るような複雑なやり方をやめ、関係機関がもっと連携を強め、総合的な対策を講じることが大切である。

 日本には、社会福祉法人という優れた制度が確立している。NPO法人で活動している人も多い。これらをもっと活用すれば、世界で最も早く「ホームレス・ゼロ」を実現できる国であると、私は信じている。

 米国の社会起業家の一人。生活困窮者の住宅問題に取り組む。「コミュニティー・ソリューションズ」代表。

◆青山やすし氏(都市調査会代表)の意見要約

 (1)かつて「山谷地区」の福祉センター所長をしていた時、ホームレス対策で最も効果があったのは公営住宅に優先入居させる制度と職業紹介だった。

 (2)都会などにホームレスの人々が存在し、またそうなると不安を抱く人々がいるが、人ごとと思わずに「自分だったらどう取り組むか」と考えてほしい。

 (3)まちの不動産屋さんが運営するホームページには、高齢者入居の相談に応じる物件がたくさん掲載されている。現在の対策を強化拡大し、関係機関の連携が進めば、ホームレスの人たちがゼロとなる日も遠くはない。 (3月31日付)

 

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